店主の食卓

旦那の居場所第21回 若布礼賛

女将のダンナは「惣菜管理士」というあまり知られていない資格を持っている、 ただのサラリーマン。とにかく大の料理好き!・・で、このお店を間借りさせて あげることにしました。 名づけて「ダンナの居場所・・居酒屋のおやじを夢見て」。 これからも色々な素材を取り上げていきますのでお立ち寄りください。*この記事は1998~2005年に書かれています

大学時代、運動部の合宿所に住んでいた。合宿ともなれば40人の団体生活。 朝食を作り、起床の号令をかけるのは一年生の仕事。眠い目をこすりながらまず味噌汁の鍋に火をつける。 ある朝の起床前、食事当番の同期が、「もっちゃん、はさみ貸して」と取りに来た。 何かおかしい!見にいくと、大量の砂糖を味噌汁に投入して首をひねっている。 その上、菜ばしで鍋から、長~いわかめをつまみあげ、はさみでチョキチョキ切り出した。 「もしかして、塩蔵のわかめ切らないで入れたわけ?」「うん、しかも塩を洗うなんて知らなかった!」 運動部は我慢の連続。先輩からの不条理な仕打ちに黙って耐えることも多いが、 上級生になっても、毎年一年生の作るスゴイ食事を文句も言わずに食べることも学ぶ。


● ● ● ● 若布のうまさの秘密 ● ● ● ●

若布の真髄は、歯応えにある。中でも、赤褐色の生若布にさっと湯通しした若布の食感は抜群だ。 魚売り場で、刺身若布なんて書いてあるのを見つけると堪らず買ってきて山葵醤油で「シャキカリ」 食べる。鳴門の灰干若布もこれに近い。黒々としたやつを口に放り込む瞬間は涙ものだ。 また、葉の中央に走る茎や中肋のところは、コリカリして乙な感じだし、めかぶの「ネバトロ」は止められない。 「ネバトロ」というより、「ズルズル」食べる。これがうまい。

一方、残った味噌汁の中でゆっくりふやけた若布の食感もまた良い。 「ネントロリ」という感じで舌の上を滑りながら溶けていく。邪道かも知れないが、こういう若布もまたうまい。 「シャキカリ」を楽しむためには、過度の加熱は禁物だが、熱が入って緑色に変わる瞬間が、 若布のうまさと香りを感じるには最も良い。しかし、若布の味とはどう表現したら良いのであろう。 微妙なうま味と甘味、微かな苦味か、他の似た食べ物に例えるだけの特徴はない。 藻類全般に言えることだが、慎ましく上品なうまさとでも言えようか。それだけに出汁や醤油との相性が良いのだろう。

● ● ● ● 若布の料理 ● ● ● ●

若布といえば味噌汁、うどん、スープなど汁物の利用が圧倒的に多いだろう。 「明日の味噌汁は何にしよう。」こんな時、「わかめ」と「豆腐」があれば、ぐっすり眠れる。 焼肉屋といえば、何故か「わかめスープ」だが、これも絶品だ。乾燥わかめの一番おいしい料理は、この「わかめスープ 」ではないか。 サラダもうまい。和風ドレッシングが、ここまでメジャーになれた最大の功績者は「わかめ」だろう。 今流行の甘めの和風味とも合うし、ゆずや紫蘇の香りとすんなり馴染む。ごま油とはおいしさの相乗効果を 発揮する。わかめといえば、昔から「酢の物」だが、この料理、最近の日本の食文化の中では、 「和風サラダ」に名前を変えてしまったのかも知れない。

■■■ 家庭でもほんとにおいしい、若布アレコレ ■■■
灰干若布はうまいが、手間がかかる。真っ黒な灰が洗っても洗ってもたまる。 しかし、この苦労と交換に、本当のうまさが、手に入る。 また、葉の中央の中肋は取り除いて別に使う手間も大切。 中肋とは風にはためく万国旗を結ぶロープみたいなやつで、広げて見るとすぐわかる。 食感が命の若布料理において、異なる食感の部位は別々に楽しみたい。 これは塩蔵若布にも共通するポイント。この中肋だけを酢の物で食べる乙な一品。 「若布のコリカリ酢の物」


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中肋は適当な長さに切り、蛇腹に包丁を入れ、砂糖・塩でもんだ胡瓜、さっと湯通ししたえのき茸と合わせる。 酢、砂糖、ほんの微量の薄口醤油で「コリカリ」食べる。 ごま油と塩だけで和えてもうまい。


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若布、鶏卵、出汁の組み合わせも抜群においしい。 わかめのたっぷり入ったふっくらオムレツや入り卵もうまい。 茶碗蒸のような柔らかくて滑らかな「若布の玉子とじ」。 酢の物やサラダも良いが、煮物の素材としての若布の上手さを実感できる。


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たっぷりの若布と季節の筍、筍は穂先や姫皮のやわらかいところが良い。 茶碗蒸風によく溶いた玉子を入れて混ぜ、蓋をして、ごくごく弱火でふっくら蒸す。 鍋に湯を張り、ステンレスのボールに材料を入れて、弱火でゆっくり湯煎しても良い。 じっくりと玉子に火が入るほどに、ふっくらと柔らかく、香り高く仕上がる。


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初夏からの季節に最高の味噌汁を一品。 素材は一切加熱しない冷たい味噌汁。 しゃきっと眼が覚め、食欲が蘇る「わかめとトマトの冷たい味噌汁」 加熱しない味噌には、たんぱく質を分解する働きが強いから、焼肉にビールの後でも爽やか。 もちろん、こっそり、ご飯にかけて食べてもうまい。


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出汁を作って冷蔵庫で冷ましておく。時間がない時は、鍋で湯を沸かし、 火を止めて「ほんだしかつおだし」を入れ、別の容器に移して氷を投入。 この冷たい出汁で味噌を溶く。味噌は好みのもので。(が、信州白味噌が良いと思う。) 冷たいまま飲むので、味噌漉しかステンの細かいザルで、必ず味噌は濾す。 これに、わかめとザク切りのトマトを入れる。薬味には茗荷の小口切りが合う。




旦那の居場所、今回は「若布(わかめ)」のおいしさについてでした。 先日、女将の仕入で波佐見から伊万里に抜けた折り、呼子まで足を伸ばした。 漁港では、おばさんが採ったばかりのわかめをたくさん籠に入れている。 根をちょんと切り落とし、芽かぶをポンと切り分ける。その度に潮の香りがぷんとして、 赤褐色の若布がお日様に透き通る。「咲良、あれがわかめだよ」 娘にはわからない様子だったが、長閑で豊かな海の光景を肌で感じてくれたらそれで良い。 娘が大好きな「芽かぶとろろ」はわかめの茎にできる、ひだひだの胞子葉。 この中に出来た胞子が海中を漂い、やがて岩などに辿り着いて発芽する。 ゆらゆらと海底に漂いながら、何を考えながら成長するのだろうか。 深部に届く太陽の光に葉を広げ、かぼそい緑色光で光合成を営む若布。 なんとも可愛い奴が日本の近海にいてくれたものだ。 この若布、北海道以南の殆どの日本沿岸に産し、日本人は古くから食用としてきました。 しかも、ヨード、カルシウム、鉄に富む海の恵み。それでいて、何故か、主張を抑えた 慎ましやかな、主役になれない素材。 でも、こんなに長いこと、日本人に愛され親しまれる若布、ほんと若布の魅力とは不思議なものです。
(00年4月 copywright hiroharu motohashi)

旦那の居場所第20回 旅礼賛・京都編

女将のダンナは「惣菜管理士」というあまり知られていない資格を持っている、 ただのサラリーマン。とにかく大の料理好き!・・で、このお店を間借りさせて あげることにしました。 名づけて「ダンナの居場所・・居酒屋のおやじを夢見て」。 これからも色々な素材を取り上げていきますのでお立ち寄りください。*この記事は1998~2005年に書かれています


女将の仕入れと講演に同道する久方ぶりの京都の旅、旦那の目的は「うまいもの」。 2月の土、日、月。21日の弘法さん(東寺)の市に合わせた旅。 「一見さんお断り」、京都にはどこか、よそ者が入れない空気が漂う。 しかも、3歳の娘も一緒だから、行けるところは限られる。 行き当たりばったりでは難しいし、子供は如何?という交渉も煩わしい。 仕入れや買い物のついでに立ち寄る、気のおけない店が有り難い。

● ● ● ● 京都の新名所 ● ● ● ●

新駅ビルが出来た当時、外食業界では、この中のテナントやフードコートが話題になった。 初めていく新名所、美味そうな気配で飛び込んだのは10階の「伊太利亜市場BAR」。ランチはメインを1皿選び、あとは前菜とデザートのキャフェテリア。 1800円は少々高めだが、お味はかなりいけている。しかし、「子供は3歳以上から800円」。これを除けば 親子連れでも、気兼ねなくライト・イタリアンが楽しめる。

仕事で奈良に行く女将と別れ、咲良と二人、河原町で「ターザン」を見る。 今回の宿は、三条烏丸ホテル。サービスも客室も、料金と照らせばリーズナブル。その上、庭の見える大浴場が付いている。 部屋の冷蔵庫には何も入っていないのも有り難い。


● ● ● ● 花見小路の名店● ● ● ●

奈良から帰った女将と落ち合い、初日の夜は、「祇園 にしむら」の個室でゆっくり和食を堪能。 喧騒から少し離れた花見小路にポツンポツンとある名店の一つ。 東京は「吉兆」で修行をしたご主人のピンと張りつめた心意気を感じる料理の数々。 娘のために、山葵を抜いた「ごま豆腐」や、「デザート」も、用意してくれるサービスが嬉しい。 すっぽんのお碗、平目の造り、菜の花のごま和え、なまこ、 さば寿司、春山菜のてんぷら・・取り立てて驚く素材は何もないのに、手を抜かない、技巧に走らないことに、 この店の深淵な心を感じ取る。最後に挨拶に出たご主人の立ち居振舞いがその全てを語る。

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● ● ● ● 清水を巡り、三条を歩く● ● ● ●

2日目は、宿の近くのスターバックスで朝食。清水に直行。 お目当ては、清水界隈の食器店の動向調査と茶碗坂のそぞろ歩き。 清水寺参拝以外は大きな収穫もなく、河原町に戻る。 器のギャラリー「にしかわ」で、寺川剛央氏の手になる、可憐で華奢なお猪口に出会い衝動買。

三条近くの「廣東料理はまむら」で昼食。 「炒什砕(ちょうちゃぶすい)」900円(たけのこのたっぷり入った肉とえびの野菜炒め) 「揚州炒麺(よんちょうちょうめん)」850円(とても香ばしいあんかけ揚げそば) 「廣東麺(かんとんめん)」850円(具がたっぷりで、あっさりして深い味のスープが抜群の湯麺) 頼んだものが、どれもこれも美味い.。ビールをやっとの思いで我慢した。 小さい子供がいるからと、時代を感じる2階の座敷に通してくれるところも嬉しい。

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新京極から三条へ、明治のモダニズム溢れるレンガ造りや、昔ながらの町屋の風情が味わえる。 女将がインターネットで知り合ったハンナさんの「のきさきや あず-ろ」もその一つ。 厚かましくも上がり込み、庭やらお風呂やらを見学。話に花が咲く女将を残し、娘と共に、六角堂へ。 ここの鳩は人間を恐れぬ。豆をやると、頭でも肩でも手の上でもとまる。ヒッチコック状態に凍りつく娘。 夕食は、昼間、三条で目をつけておいた「あるとれたんと」へ繰り出し、牛肉のカルパッチョなど適当なつまみで赤ワインを空ける。 子供がいても負い目を感じない、バールという雰囲気の店。パンが滅法うまいが、ワインは高い。 そぞろ歩きを楽しみながらもう一軒。「セカンドハウス」でデザートを食べる。京都らしい佇まいと軽いケーキを楽しんだ。

● ● ● ●錦市場と弘法さん ● ● ● ●

最終日、娘とゆっくり朝寝坊。目覚める頃に、一仕事終えた女将が帰った来た。チェックアウトし錦小路へ直行。並べ立ての商品を買い込む。 千波(ちなみ)の「木の芽煮」「昆布とかつお梅の佃煮」「ちりめん山椒」「葉山葵」 お新香は打田漬物で、「おんぶ漬(大根に昆布とかつおのうま味が染みたやつ)」「きゅうり、なす、しょうがのしば漬」「たけのこ漬」「赤かぶら漬」などなど。 それでも足りずに、豆英のおかきや、おばんざい屋さんで「えび豆」「若鮎の甘露煮」などをぶらぶらと求める。 遅い朝食は高島屋。京都はホテル以外は朝食が不便だが、遅めなら、高島屋の地下は良い。 10時の開店に、地下のイートイン・プラザは全てスタンバイ。 安くてうまく、暖かい朝食にありつける。「うどんの みなみ」の昆布うどんで暖をとる。

一路、弘法さん(東寺)へ。女将は既に、この日の早朝、ここで仕入と商談を終えているので、 するめのあぶった奴(ゲソだけ)を200円で買い、しゃぶりながらゆっくり市を巡る。 「煎り銀杏」「うるめ干焼」「干し葡萄売り」、初めて見る屋台のオンパレード。 今のものだが、蛸唐草の杯洗を1個買い込む。 タクシーで引き返し、「のぞみ」までの最後の時間を使って買出しは続く。村山造酢の「千鳥酢」、八百三の「柚子味噌」、西友の「しじみ茶漬け」ああ、本当に満足、満足。

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旦那の居場所、今回は「旅にしあれば旅の味」京都のおいしさについてでした。 この旅で、本当にうまいと感じたものは、決して高級な素材ではありませんでした。 厳しい冬の寒さに耐え、自らの滋味を養った素材。 そして、「その素材はこうして食べるのがおいしい」という永年の経験が、信念にも近い完成度を帯びている。 本物の豊かさとは何かという問いへの一つの答えが用意されている町。 「あと15分あるから、ちょっと買い物ができる。」駅についても、伊勢丹の地下へ直行。 穴子のにぎり、さば寿司、冷酒を抱え新幹線に乗り込んだ。 「夕食はおいしいご飯を炊いて、買い込んだお新香と佃煮の数々で・・。」「のぞみ」の中でも食べ物の話が尽きぬ。 ホント京都の魅力とは、不思議なものです。

オープンビューレストラン「伊太利亜市場バール」 JR京都伊勢丹 10階 075-352-1111(代)
祇園にしむら 東山区祇園町南側570-160 075-525-2727
廣東料理 はなむら 河原町三条下ル 075-221-4072
あるとれたんと 中京区堺町三条上ル東側 075-253-3339
京こんぶ 千波 中京区錦小路通柳馬場西入 075-241-3935 
打田漬物錦小路店 中京区錦小路通柳馬場西入 075-221-5609
豆英 中京区高倉通四条上ル 075-221-0982
村山造酢 東山区三条大橋東3-2 075-761-3151
元祖柚味噌 八百三 中京区姉小路通東洞院西入 075-221-0318
「のきさきや あず-ろ」中京区堺町三条下る 075-241-0763(原則土日曜のみ営業)

旦那の居場所第19回 蕪礼賛

女将のダンナは「惣菜管理士」というあまり知られていない資格を持っている、 ただのサラリーマン。とにかく大の料理好き!・・で、このお店を間借りさせて あげることにしました。 名づけて「ダンナの居場所・・居酒屋のおやじを夢見て」。 これからも色々な素材を取り上げていきますのでお立ち寄りください。*この記事は1998~2005年に書かれています


「蕪」との出会いは、小学校の2年生。学芸会での「大きなカブ」に遡る。 その他大勢のネズミの役で、「大きなカブ」を引き抜いた。 抜けた瞬間大騒ぎ、見事ハッピーエンドとなるわけだが、 「?カブってそんなにおいしいの?」と、子供には馴染みの薄い野菜だったと思う。

● ● ● ● 蕪うまさの秘密 ● ● ● ●

蕪のうまさは、木目の細かい肉質にある。しゃきっとしている上に弾力のある肉質。 噛み心地を楽しんでいると、すぐに甘味が口中に広がる。 漬物、煮物、汁物。加熱の具合で食感も変化するし、肌の色も劇的に変わる。 舌でとろける柔らかさ。一瞬歯を跳ね返す弾力。しゃきっとほとばしる硬さ。 白磁のようなまぶしい白。繊維の模様を白く浮き出させた無色透明。 出汁をいっぱいに吸い込んだ飴色。 いずれも冬の凛とした空気に良く似合う。 昆布や鰹節のうま味との相性。白味噌や酒粕とは出会いもの。牛乳やバターともピッタリ。 鶏肉、えび、牡蠣、淡白な白身の魚にも良い。 茎や葉も、甘味とエグ味の対比が堪らない。糠床で漬けたり、ごま油で炒めたり。 炊き立ての白飯に乗せれば、何杯でも「ごはんがススム」。ああ、うまかいな、蕪。


● ● ● ● 小蕪、葉かぶに、大きなカブ● ● ● ●

旦那の生家東京では、蕪といえば「金町小蕪」。緻密で滑らかな肉質、柔らかく甘い。 油揚げと一緒に葉や茎も入れての味噌汁は冬の東京の朝の逸品。 西に向かうと漬物がうまい。聖護院、日野菜、酸茎菜。千枚漬けや奈良漬けにはもってこい。 四日市在住の折り、奈良・京都への遠出には、必ず途中で鮮やかな赤首の「日野菜の桜漬け」を齧った。 長いの、丸いの、とがったの。白いの、赤いの、緑の。ちさいの、おきいの。 永年、日本各地の風土で培われた愛すべき野菜。

「金町小蕪」がないので、ここ広島では、「天王寺蕪」を求める。 大根のようにすりおろして、絞り汁を飲んでみる。なんともいえない上品な香気と甘さ。 胃袋に染み渡る真冬の蕪のうまさだ。 そういえば、野沢菜も蕪の一種。根部より葉を食べる「葉蕪」の王様。 それにしても、信州で食べる野沢菜はなんであんなに美味しいのだろう。 さあて、今日はどうして食べようか、あれこれ悩む、うまいかな、蕪。

■■■ ・・家庭でもほんとにおいしい、蕪アレコレ・・ ■■■

蕪蒸し(カブラムシ)は日本を代表する和の名皿。 アツアツの甘鯛にふわっとかかった卸し蕪は、もんどりうって、気絶するうまさだ。 しかし、家庭でやるのは仰々しいし、照れくさい。白身の魚も高価ときている。 だから、「蕪蒸しシュウマイ」を楽しく作って、愉快に食べちゃう。
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皮を厚くむき擂り卸した蕪の水気を切る。(竹のざるや巻き簾を使う) 白身の魚(鱈など)や小海老をたたいて混ぜる。鶏のひき肉を入れると風味が出て更においしい。 つなぎに長芋を卸して入れ、水気が多ければ片栗粉を混ぜる。 シュウマイの皮(市販のワンタンの皮)で具入りの卸し蕪を包み蒸し器で蒸す。 「明石焼」のだし程度の出汁を銘々に用意し、蒸したてをつけて食べる。 水分が多く、うまくシュウマイにならない場合は、気持ちを切り替えて 用意の出汁を用いて、ワンタンにするか茶碗蒸にする。

 


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蕪の外皮と身の間には「ショウジ」と呼ばれる繊維質の部分がある。 このゴワゴワ感と身の柔らかさとのコントラストが強すぎるから、糠漬けや味噌汁を除く、大半の料理では、これを取り除いた方がおいしい。 しかし、皮は皮で、独特の食感があり、うまい。 旬の蕪の皮は、そのままパキパキ食べても驚くほど甘い。これを捨てる手はない、「蕪の皮の辛酢漬け」

kabu02.jpg 蕪の皮は塩をして1時間、しんなりする。 少量の酒、砂糖、酢で和え冷蔵庫に置く。 切り昆布、鷹の爪を加えて、味が馴染んだら出来上がり。


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蕪を丸ごと1個ラジカルにかぶりつきたい。 これには「風呂吹き」が一番だ。乳製品との相性抜群だから、 敷き味噌には生クリーム、上からはバターをかける。 しかも、オーブンで焼くのだから「風呂吹き」ならぬ「サウナ吹き」か? うっすらと付いた焼色が堪らない「蕪の風呂吹きグラッセ」

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蕪は皮を厚めにむき、薄い出汁で固めに下ゆで。 白味噌に酒と生クリームを混ぜ敷き味噌を作る。 出汁が染みた蕪は頃合の食感が残るようにオーブンで焼く。 敷き味噌に蕪、上にバターを載せ、仕上げに強火でカッと焼いてアツアツを齧る。


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旦那の居場所、今回は「蕪(かぶ)」のおいしさについてでした。 蕪の原産地は、地中海、中近東、西アジア周辺。 日本には東洋種が中国から西日本へ、シベリア・朝鮮半島を経て西洋種が東日本へ土着した。 東洋種と西洋種は関が原あたりを境にするという。東京から西日本へ移り住んで、一番驚いたのは、 蕪がでかいことだった。「蕪」は古い文献にも登場し、少々多く食べても胃にやさしく、 穀類の補いとして、畑の常備菜と考えられていた。 大根と同じアブラナ科で微量成分も大根とほぼ同じ、ビタミンC・A、カルシウム、鉄に富み、 加水分解酵素アミラーゼを多く含む。 仕事柄、昼は必ず外食だが、定食につきもののお新香は、最近ではほぼ100%、たくあんやきゅうりの細切りを、ロングライフパックにした奴が登場する。あれだけはどうしても食べる気にならず残してしまう。 たまさか、これは自家製だなとわかる蕪の糠漬けなんぞにお目にかかると、毎度その店に 足が向いてしまうというから、ほんと蕪の魅力とは不思議なものです。
(99年2月 copywright hiroharu motohashi)

旦那の居場所第18回 冬の豆腐礼賛

女将のダンナは「惣菜管理士」というあまり知られていない資格を持っている、 ただのサラリーマン。とにかく大の料理好き!・・で、このお店を間借りさせて あげることにしました。 名づけて「ダンナの居場所・・居酒屋のおやじを夢見て」。 これからも色々な素材を取り上げていきますのでお立ち寄りください。*この記事は1998~2005年に書かれています

学生時代、金のない時。運動部の合宿所の同居人で小遣いを出し合い、 コンビニに酒のつまみを買いにいく時。 はたまた、一人で晩飯のおかずを買いにいく時。定番はいつも「豆腐」だった。 うまくて、安くて、すぐ食えて。しかも、良質なたんぱく質が摂れる便利な食材。 減量中、夜中に起き出して、餓鬼の様な顔をしてパックごと豆腐に貪りついていた後輩の顔を今も忘れることが出来ない。


● ● ● ● 「豆腐 とうふトウフ」 ● ● ● ●


厚揚げの離水を止めるにはどうしたら良いか、豆腐工場からお声がかかりお伺いしたことがある。 水に浸けてやらかくした大豆に水を加えながらすりつぶしたものが呉(ご)。これを絞った豆乳を凝固させたものが豆腐。 大豆の種類・産地、水分、凝固時の温度 等など、豆腐作りの奥は深い。 絹ごし、木綿に加え、焼き豆腐、厚揚げ、油揚げ、高野豆腐。豆腐製品は身近にあふれる。 最近のヴァラエティー化も楽しくて、長期保存の効く充填豆腐やざるに入ったざる豆腐風、柚子などの風味豆腐。 冷奴専用、湯豆腐専用、でんぷんで硬くしてそうめん風にした奴などホントにたくさん種類がある。 がんもどきや、湯葉あたりまで豆腐ファミリーだとすれば、こりゃ凄い!全部、大好物ばっかりだあ。


● ● ● ● 「湯豆腐のこと」 ● ● ● ●


「冬の豆腐」といえば、なんといっても、湯豆腐。 湯豆腐といえば京都、南禅寺の門前でつつく湯豆腐。京都は水が良いから、おいしい豆腐が できるそうな。しかし、あの独特の風情、桧で作った湯桶に炭を仕込んで、丁度ほろ温まったやつを喉に 流し込むから、なおさらうまい。 各温泉場にも温泉のお湯で作ったおいしい湯豆腐がある。

九州は嬉野あたりも、泉質に癖がないから、 おいしい温泉湯豆腐ができる。とろとろを独特の胡麻だしで食べれば極楽。 さてさて、湯豆腐の作り方。まずは、昆布だし。鍋に水を張り昆布を入れ、冷蔵庫で10時間。 水出し法だと、昆布から苦くない、スッキリとしたうま味が出る。長時間のうちに、グルタミン酸ナトリウムに加え、マンニットのうま味もよく出て、バランスも良い。

そういえば、グルタミン酸ナトリウムを発見した、池田菊苗博士。湯豆腐を食べている時、 昆布を入れると何故おいしいかと閃いたのがきっかけだったとか。 そして、湯豆腐には豆腐のほかに何を入れるか。根深ねぎ、しいたけ、鱈、きっとお好みの具がが各家庭にあるに違いない。 もちろん「豆腐だけ」もうまい。しかし、ほんの少量の塩を忘れずに。たんぱく質に作用し、ふっくらとおいしく出来る。

■■■ 家庭でもほんとにおいしい、豆腐アレコレ ■■■

おいしい湯豆腐数々あれど、寒い夜にはこんな珍しいのは如何。 シンプルだけど、濃厚なうま味。これ何が入っているの?どうやって作るの? と思わず感動の「鶏皮だしで作る湯豆腐」

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昆布だしは前述の水出し法10時間。 別の鍋で鶏皮をゆで、アくがでたら、冷水にとって一度洗い、また水からコトコト炊いて鶏だしを取る。 鶏の皮を全部引き上げた鶏だしと昆布だしをあわせ、、 ほんの少しだけ塩を入れて湯豆腐のだしが完成。 お気に入りの豆腐を奴に切って入れ、食べごろを見極めアツアツを食べる。 具は豆腐だけ、酸味の柔らかいポン酢醤油との相性が良い。 鶏皮は捨てるの?後でこのだしで鶏皮雑炊にしますのでご安心。刻みねぎと溶き卵。味付けは塩だけで。


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凍豆腐は、豆腐を一度凍らせてから、乾燥させた保存食。 高野山ではじまったことから「高野豆腐」ともいう。 豆腐は水分が多く、冷凍耐性がないから、一度冷凍すると酢が入った感じになって色まで変わってしまう。 それを承知で、ちょっと使い残した豆腐を冷凍。解凍してボロボロになったのを だしで炊く。なんだかとてもシミジミした「自家製凍豆腐」が出来上がる。

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冷凍しておいた豆腐を自然解凍。適当な大きさに切る。 鍋に甘めのかつおを利かせただしを入れ、弱火で味がよく染み込むように炊く。 一度火を止め冷まし、食べる前にもう一度温めると尚更味がよく染みている。


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神奈川県の川崎に「貝屋」という焼き鳥の名店がある。 今はなかなか訪れる機会がないが、東京在住の折は2ヶ月に1回は顔を出した。「カシラ」「カワ」「ねぎ」「ししとう」!うまいから、何本でもぺロッと食べられる。だから、発注は「5本単位」がこの店の暗黙のシステム。 広島の銘酒「賀茂泉」を置くこの店は、他のつまみも、またうまい。「嵯峨豆腐」なる揚げだし豆腐、これまた絶品だったなあ。「へい、いらっしゃい!」お歳の割に、艶やかな威勢の良い声。先代の女将さんはまだご健在だろうか。 ということで、うまかった嵯峨豆腐を再現。「山葵の効いた揚げだし豆腐」

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豆腐の上面をくりぬき、山葵漬け(粕漬け)を射込む。あとは揚げだしの要領で。 たっぷりのアツアツのだし、長ねぎの千切り、おろししょうがをかけて。 あんまりうまいので、ぺロッと豆腐一丁たべてしまいます。 揚げだしの際の豆腐はよく水を切れというが、あまり切ると豆腐のうまさも逃げてしまうので程ほどに。旦那は決死の覚悟で、ほとんど水を切らずに揚げています。


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旦那の居場所、今回は「冬の豆腐」のおいしさについてでした。

古典落語で「酢豆腐」なるお噺がある。いつも知ったかぶりをする若旦那に町の衆が、 珍しい豆腐があるといって腐った豆腐を食べさせる噺。腐っているとは知りつつも若旦那、行きがかり上、食べざるを得ない。やはり豆腐は庶民の食べ物。日常縁の深い食品を通じての江戸庶民の泣き笑いは痛快で、どこか風刺的でもある。

「遺伝子組換え技術(GMO)」論議の盛り上がる昨今、豆腐の原料「大豆」もまた渦中の農産物。 日本の大豆の年間消費量は500万t。国産大豆の生産量は10万tにも満たない。「世界の食料需給」「病虫害の進化」「農業人口の低下」「安全性の国際基準作り」「食品に対する正確な知識の普及」 「NON-GMO原料の製品へのコスト転嫁」等等、いろいろな観点から冷静に是非を議論しなければならない問題。

「GMO」に限らず、「無農薬」「有機」「国産」「無添加」「天然」。定義のよくわからない表現を、意味も調べず、敬遠したり、有り難がる風潮。 「イメージ」「思い込み」では良し悪しを判断しない、見識の高さが21世紀の「食」問題解決のキーになると思う。
豆腐やさんに言いたい。輸入ものでも国産でもいいから、安くて豆腐に適した大豆を見つけて、香りの良い、おいしい豆腐を 作り続けて下さい。

それにしても「冬の豆腐」が煮える音を聴きながら、女将と差しつ差されつ熱燗をちびちび。 もうそれだけで、「日本人に生まれて良かった」なんて、思ってしまうからホント 「冬の豆腐」の魅力とは不思議なものです。

(2000年1月 copywright hiroharu motohashi)

旦那の居場所第17回 南瓜礼賛

女将のダンナは「惣菜管理士」というあまり知られていない資格を持っている、 ただのサラリーマン。とにかく大の料理好き!・・で、このお店を間借りさせて あげることにしました。 名づけて「ダンナの居場所・・居酒屋のおやじを夢見て」。 これからも色々な素材を取り上げていきますのでお立ち寄りください。*この記事は1998~2005年に書かれています


最近、我が家の食卓に、「南瓜」の登場する事が増えた。 緑黄色野菜をたっぷり娘に食べさせようという女将の知恵らしい。 娘も「カボチャ」を良く食べる。色がきれいで、噛みやすく、なんといってもあのほのかな甘さが受けている様だ。 「芋、エビ、ナンキン」とは良く言ったもの。こちらはなんとなく、肩身が狭い。

本来は夏から秋に旬を迎える「南瓜」。季節はずれの礼賛だが、冬至に食べる習慣は、 野菜の少ない時期の栄養補給の意味があるとか。もともと、貯蔵性の高いかぼちゃだが 収穫後、温度・湿度を一定に管理して、表面を乾燥させ、保存性を高める工夫がされている。 このキュアリングなる工程により、果肉のでんぷんが糖化して甘味が強く、色鮮やかに柔らかく変身、一年中おいしく食べられる。

● ● ● ● 「かぼちゃうまさの秘密」 ● ● ● ●

かぼちゃのうまさは、第一にあの甘さ。ほのかで上品。 その中に野菜特有の風味が隠れている。 次に香り。皮をざくっと包丁で落としていく時、中のさなごや種を手で取り出す時、 なんとも言えぬ特有の香気を感じる。 生命力の詰まった力強い香り。それでいて発展途上の青々しい香り。 果肉より皮や皮のすぐ下にこの香りが多いような気がする。 次に、テクスチャーというか、食感というか。表情の豊かな肌。 種類や、加熱時間、温度、加熱時の混ぜ方などによって、全く異なる表情を見せる。 煮崩れたもの、歯応えを残したもの、殆ど生に近いシャキシャキのもの。

南瓜は大きく3つの種類に分けられる。1つは日本かぼちゃ、黒皮、鹿ケ谷など、溝が深く、 水分が多く淡白でねっとりした種。それから、西洋かぼちゃ、 栗かぼちゃに代表される現代のマジョリテイ。粉質でホクホク感がある。 もう一つはペポかぼちゃ。そうめんかぼちゃやズッキーニなど、シャキシャキ感が身上の 甘味が少ないタイプ。好みはあるが、いずれも食感が決め手。 人それぞれの好みを満たし、ああうまいかな南瓜。


● ● ● ● 「かぼちゃ料理の秘訣」 ● ● ● ●


本来の甘さと風味を楽しむためには砂糖少々だけで煮るといい。 だしも醤油も不要。かぼちゃのうまさと香りがよくわかる。 八方だしをよく染ませた型崩れのない凛とした煮物も清清しい。 肉のうま味とは出会いもの。鶏肉やベーコン、ひき肉などと炊いてもおいしい。 この場合は醤油でも良いが、生クリームで煮ると、上品に甘味が引き立つ。 スープやグラタンに使われるのも納得。 てんぷら、えびのすり身で挟み揚げなど、油との相性も良い。 唾液が吸い取られることに、我慢がならない旦那としては、ほぼ生に近い千切りを バリバリ食べるのをもって、かぼちゃの最高の食し方としている。

■■■ 家庭でもほんとにおいしい、南瓜アレコレ ■■■

似た食感を持つ「じゃがいも」「さつまいも」との大きな違いは灰汁の無さ。 だから、生でも食べられるし、糠漬けでも結構いける。 あっさりとしたドレッシングで、しゃきしゃき、バリバリ、かぼちゃを食べよう。「かぼちゃのバリバリサラダ」

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かぼちゃは生のまま千切り。端に皮が残るように工夫して切ると美しい。 にんじんも同様。それぞれ食感を残してさっとお湯にくぐらせる。 好みで他の野菜とも組合せ自由。ノンオイルしょうゆベースのあっさりドレッシングで。 オイル&ビネガーのシンプルなドレッシングもおいしい。マヨネーズは野暮になる。 硬すぎて切れない場合、少し電子レンジにかけると切り易い。しかし、無理をするのは大怪我の元。こんな時はあきらめて 別の料理に転換すること。


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初めてのデザートの登場。このプリン、家庭で作ってもかなりうまい。 目分量でも失敗がない。買ってくるのよりうまいかも知れない。慣れれば仕込み10分の簡単「かぼちゃのプリン」

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鍋で砂糖を煮詰めてカラメルを作り、オーブン容器に流し入れる。
かぼちゃは電子レンジでチン。ステンレスのざるとおしゃもじで裏ごし。 ボールにうらごし、卵、少し温めて砂糖を溶かした牛乳を入れ混ぜる。
オーブン容器(中のカラメルは既に固まっている)に流し入れバニラエッセンスを振る。 オーブンでじっくり焼く。(175度25分目安)生地に入れる砂糖を少し多目に入れるとふっくらできる。
分量の目安は、カラメル(水100ccに砂糖大さじ5で煮詰める) 生地(かぼちゃ100g、牛乳350cc、卵2個)


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ニョッキなる奴がでかい顔しだしたのは最近だ。随分きどった野郎で、ふにゃふにゃとだらしがない。 とらえどころが無いくせに、滅法うまい。しかし、騙されちゃあ、いけねえ! よく考えてみりゃ、コイツは「すいとん」だ。 てなわけで、すっとこどっこい「かぼちゃのニョッキ」

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かぼちゃは電子レンジでチンしてステンのざるとおしゃもじで裏ごし。 これに、薄力粉、塩、こしょう、好みで卵と混ぜあわせ、ひとまとめ。 適当に棒状に伸ばしてタンタン包丁で切ってお湯に投げ込む。 柔らかいのが好きなら、ゆるゆるにこねて、まさに「すいとん」の要領で、スプーンでお湯に落としても良し。 塩を効かせたお湯に浮いてきたら出来上がり。 ソースは、きざんだアスパラ、ねぎなどを甘味がでるまでオリーブ油で弱火でいため、 塩、バジルで味付けしたやつや、生クリームを煮詰めて塩、胡椒、バターで和えやつ等がよく合う。


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旦那の居場所、今回は「南瓜(かぼちゃ)」のおいしさについてでした。 日本かぼちゃといっても、産まれは中央アメリカ。 16世紀中頃にポルトガル船で、カンボジアから持ち込まれた。故にかぼちゃ。 ご存知、かぼちゃは緑黄色野菜の中でも優等生。カロチン、ビタミンB1、B2、C カリウム、食物繊維が多く含まれている、微量栄養素の宝庫。 しかも、果肉だけでなく、さなごや、種まで食べられるというからパーフェクト。 いやいや、魔法ひとつできらきらの馬車にまで変わってしまうというから ほんと南瓜の魅力とは不思議なものです。

(99年12月 copywright hiroharu motohashi)
99/12月

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