2012年3月の記事

旦那の居場所第44回 「白子」( しらす)礼賛

女将のダンナは「惣菜管理士」というあまり知られていない資格を持っている、 ただのサラリーマン。とにかく大の料理好き!・・で、このお店を間借りさせて あげることにしました。 名づけて「ダンナの居場所・・居酒屋のおやじを夢見て」。 これからも色々な素材を取り上げていきますのでお立ち寄りください。*この記事は1998~2005年に書かれています


しらす、ちりめん、じゃこ、子女子、かえり・・・「おそらく同義語だ!」と思って使っている単語の違いを言い当てるのは難しい。

「しらす」とはカタクチイワシやマイワシの稚魚、白く透明だから「白子(しらす)」という。これを塩水で茹でて軽く乾したものを白子干し。この「白子干し」が、関西では「ちりめんじゃこ」と名前を変える。「ちりめんじゃこ」とは「縮緬雑魚」の意。なんとも言い得て妙なネーミングだ。

「白子干し」と「ちりめんじゃこ」、元来は同じものを別名で呼んでいたに過ぎないわけだが、一般に、関東では水分の多いものが好まれ、関西ではよく乾燥したものが食されるので、スーパーなどでは、乾燥の度合いによって、この2つの名称を使い分けているようだ。「かえりちりめん」は「ちりめんじゃこ」の少し大きいもの、少し大きくなって帰ってきたお兄さんのこと。「子女子」は「イカナゴ」の子供。いずれにしも稚魚を大量に捕獲し塩水で茹でて乾燥させる、いわゆる「煮干し」の一種というわけだ。

● ● ● ● 白いご飯にしらすを山盛り ● ● ● ●

炊きたてのご飯に、しらすを山盛りにかけてざっと胃袋に流し込む。なんとも幸せな一瞬だ。しらすの白さがご飯の白さに同化して、それを一緒に口に放り込めば、口の中では、ご飯の柔らかさがしらすの柔らかさと同化する。ご飯としらすが同居する茶碗の中は真っ白だが、成長すればくりくり目玉になるはずだった小さな瞳たちだけが、かすかなシミのように残っている。真っ白で柔らかなしらす干、それはカルシウムたっぷりの小さな命が凝縮された少ししょっぱい海からの贈り物だ。


● ● ● ● 生しらすのうまさに絶叫 ● ● ● ●

獲れたばかりの生しらすの味は絶品だ。流通と保存が発達した今では東京でもその味が楽しめる。房総、相模湾、駿河湾、紀伊半島、瀬戸内、日本各地から、WEBでも簡単に取り寄せが可能だ。釜揚げにしたものより、甘味とうま味が強く、タオヤカで柔らかな、上品この上ないうまさ。絶叫しながら食べ続ければ、500gくらいはあっという間に食べてしまう。ご飯によし、酒の肴によし。ああ、いかにも島国ならではの贅沢だ。

● ● ● ● しらすのうまい食べ方は ● ● ● ●
 
やはりしらす干しはご飯との相性が抜群だ。じゃこご飯やおにぎりなど、何杯でも食べられるからご用心。柔らかい旬のグリンピースで豆ご飯をつくり、炊きあがりにたっぷりじゃこをかけて混ぜる。
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至高のうまさに、口の中では味蕾たちが感激している様子が、わかるくらいだ。大根おろしには何故かしらすが付き物だが、これをうまいと感じたことがない。大根おろしの食感としらすの食感は相性が良いとは思えないし、それぞれの美味さをひきたて合う相乗効果も感じられない。醤油などかけようものなら、しらすの風味も消え失せ水っぽさと臭いが気になりはじめる。
どうしてもこれを食べねばならぬなら、少量の酢をかけると両者がたちどころに調和する。塩加減も味わいも上品で柔らかいだけに、個性の強い相方を必要としないのがしらす干しの身上だ。なるべくシンプルに、その味を楽しみたい。 じゃこ・ピーマンご飯


■■■ ・・ホントにうまい しらす料理あれこれ・・ ■■■


ちりめん山椒と獅子唐の相性は最高。シンプルだが某高級割烹の名物料理だ。ここで修行した四国の有名割烹のご主人に教えて頂いたこの料理に、家庭でも失敗しないよう工夫を加えた。酒によし、酒の後のご飯の友によしの「獅子唐とちりめんの山椒炊き」
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山椒の佃煮と柔らかいちりめん(しらす干し)を鍋に入れ、少量の酒と醤油でさっと煎り付け、ちりめん山椒を作る。甘さが足りなければ砂糖でなく、みりんを少量足す。「ちりめん山椒」は高価だが市販のもの(瓶詰めやパック詰め)でも良い。
獅子唐は洗って斜めに小口切。別の鍋にごま油を少量入れて馴染ませ、食感を残して炒める。獅子唐を、ちりめん山椒の鍋に入れて、よく絡ませて出来上がり。(混ぜた後に加熱しないのが失敗しないコツ)


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長女が保育園のおやつで食べて覚えてきた、スペシャルにおいしい「じゃこトースト」。そのおいしさに感動した彼女は栄養士の先生に作り方を聞いてきたらしく、我が家に友達が来る日に手際よく作って、喝采を浴びていた。
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食パンを4つ切りにしてトースト。表面に生卵の黄味を塗り、じゃこを散らして、もみのりをかける。どちらもうまいが、「しらす干し」より水分の少ない「ちりめんじゃこ」の方が野趣がある。写真は旬の柔らかい「子女子」を使用。

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ごま油とほのかな塩味の取り合わせは、後をひくうまさだ。比較的個性のない素材同士をごま油の風味でまとめた絶妙な和え物を一品。「黄にらとえのき茸のしらす和え」
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鍋に湯を沸かし、切りそろえた、えのき茸と黄にらを入れ、すぐに水にさらす。茹で過ぎは禁物。湯通し程度で。えのき茸のぬめりがすっかりなくなるまで水にさらして、ざるに取り十分に水気を切り、冷蔵庫で冷やす。食べ際にしらすを入れて、ごま油でよく和える。塩気はしらすから出るが足りなければ、アジシオを一振りする。




旦那の居場所、今回は「白子(しらす)干し」のおいしさについてでした。
早く目覚めた土曜日の朝は念入りに米をとぎ、タイマーをセットして築地に車でひとっ走り。 場外にある「コナシ」は「しらす」や「子女子」の専門店。白い割烹着を着たおばさん達が産地や色、大きさの違うシラス達を手早く 量っては、袋に詰めてシールしてくれます。 炊きたての白いご飯に山盛りのしらすを想像して、思わずハンドルを握りながら涎を垂らしてしまうというから、ほんと「白子(しらす)干し」の魅力とは不思議なものです。


(03年4月 copywright hiroharu motohashi)

旦那の居場所第43回 「ピーマン」礼賛

女将のダンナは「惣菜管理士」というあまり知られていない資格を持っている、 ただのサラリーマン。とにかく大の料理好き!・・で、このお店を間借りさせて あげることにしました。 名づけて「ダンナの居場所・・居酒屋のおやじを夢見て」。 これからも色々な素材を取り上げていきますのでお立ち寄りください。*この記事は1998~2005年に書かれています


ピーマンのうまさがわかるようになるまでには、人生として少々の時間を要するようだ。しかも、一時期、「その話ピーマン」とか「あの男ピーマン」なんて良くない流行言葉にも使われた。「ピーマンのように中身がない」ことの例え通り、この野菜、中は空洞だ。しかし、侮るなかれ!見てくれと違い、付き合えば付き合うほどに、味のある奴だとわかる、奥の深い野菜なのだ。


● ● ● ● ピーマン 買う勇気 楽しむ勇気 ● ● ● ●

家庭ではどんな料理にピーマンを使うことが多いだろうか。この野菜、何にでも使える常備菜というわけではないようだ。肉詰め、炒め物、チキンライス、てんぷら、用途は比較的限られる。一袋に4~5個入って売られていることが多いが、何に使うか、決めてからでないと手が出しにくい野菜の1つだ。ほのかな苦味と渋味、そして独特の青臭さ。子供が食べられない野菜の代表選手ときている。ピーマン?なんて我が家では買ったことがない!というご家庭もあるのではないか。さあ、今回は敢えてこのピーマンの魅力を掘り下げつつ、思いっきり楽しんでみたい。


● ● ● ● ピーマンの色めく時 ● ● ● ●

あの苦くて青臭いピーマンが燦然と輝き色めき立つ、うまい食べ方を考えたい。僕の最も好きな食べ方は刺身だ。その名も「ピー刺し」。新鮮な奴をさっと洗って種を取り、「アジシオ」をさっと振って食べる。何故か味付けは「アジシオ」に限る。齧りつけばシャキっとした音とともに、口中に青臭いジュースがほとばしる、これが堪らなくうまい。もちろん、さっと網で焼いても良く、ビール、サワー、ホッピーあたりとの組合せはもう最高。


青臭さが嫌いでなければ塩もみもうまい。生のピーマンを塩でもみ、かつおぶしや塩こぶなどと和える。新しょうがの漬物やゆかりとまぶしてもいとをかし。紹興酒に漬けたり糠漬けでもまたOK。


それから、この野菜、油との相性が抜群だ。炒めることで甘みが増し、油の効果で独特の臭みも消える。だから、てんぷらもうまいし、炒め物(青椒肉絲が代表だ)などしめたものだし、どうしてどうして油味噌にするのがうまい。油味噌は茄子で作るより、滋味深く格調高い逸品が出来上がる。ということは、味噌や砂糖との相性も良いということ。


それに、もともと辛くないトウガラシがピーマンと呼ばれるようになったわけで、香辛料的使い方はバッチリだ。みじん切りをサラダやピラフに入れたり、輪切りをピザに載せたりするだけで、料理がパッと色めくほどにうまくなる。カレーやカポナータ(仏ではラタトゥイユ)には欠かせない脇役だ。


● ● ● ● いろいろなピーマンを試してみると ● ● ● ●

イタリアンレストランで大きくて真っ赤なピーマンを初めて食べた時の感動は忘れない。赤や黄色、オレンジのこの外来種のジャンボピーマンは、「ピメント」等と称して、出はじめはとても高価でオシャレなピーマンだった。アジアからの輸入モノがスーパーに並んでからは、値段も買いやすくなり、最近では、水耕栽培やバイオもの、ビタミンやカロチンが多い珍種も出回り、ピーマンバラエティーは急拡大だ。

イタリアンのブームがけん引役としては大きいが、料理本や料理番組などでも盛んに使われるようになり、あっという間に家庭にも広まった。赤や黄色のこのピーマン、肉厚で、しかも完熟しているから甘みが強い。従来の中果種の緑ピーマンよりもずっと用途は広いといえるだろう。

■■■ ・・ホントにうまいピーマン料理あれこれ・・ ■■■


油に砂糖、ナッツ類と、ピーマンとは相性の良いものを組み合わせて、最高のお茶受けを作る。もちろん、ウイスキーやビールにだって合う「ピーマンとくるみの飴炊き」
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ざく切りまたは輪切りのピーマンはゴマ油でさっと炒め皿に取る。鍋に多めにゴマ油を熱し、ザラメ糖(なければグラニュー糖でも普通の上白糖でもよし)を油で溶かし飴を作る。
これにくるみ、ピーマンを入れてさっと加熱しながらよく混ぜる。

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大果種のピメント(ジャンボピーマン)にはオリーブオイルとチーズがよく合う。くし切りのピーマンをゴンドラに見立ててオーブンで焼く、「赤ピーマンのベネチア風」。ゴンドラの中では相性の良いアンチョビとモッツァレラがマリアージュ。ゴンドラだけにベネチア風とネーミング。
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赤ピーマンは1個から8~12切れ程取れるよう、くし切にする。さっと塩とオリーブオイルをかけてオーブンで下焼き。
歯応えを残して取り出し、アンチョビ(フィレならピーマンのゴンドラ一艘に一枚ずつ)、モッツァレラを載せて更にオーブンへ。
チーズが溶けたら出来がり。最後にラディッシュで漕ぎ手のための赤い帽子を飾りつけ。

写真の一番下のピーマンはアンチョビだけを載せた状態。もちろんこれだけでもうまいが、やはりモッツァレラとの相性は良い。アンチョビのほかにはスモークサーモンやベーコンなどでもOK。ピメントの甘さが引き立つためには、少々塩が効いているものが合うようだ。


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青椒肉絲は牛肉や豚肉よりもピーマンが主役だ。ピーマンの緑の色めきと歯応えが堪らない。 冷めてもうまい青椒肉絲なら牛タンを使うことをお勧めする。ピーマンの香りと味わいを活かすべく味付けはシンプルに。 塩と胡椒だけで仕上げる「青紅椒牛舌絲」
チンジャオロースー
 
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中果種の緑赤黄のピーマンを千切りに。牛タンは塊を求めて自分でカット。5~6mmの棒状に切り揃える。
少々贅沢にクラウンカットの芯の部分だけを使いたい。タンの下味は塩胡椒、少量の酒・醤油・しょうが。よく肉にもみこみ最後に片栗粉。
少量のお湯に粉末の鶏ガラスープ、塩を溶かしておく。水:片栗粉=1:1で少量の水溶き片栗粉も用意。
中華鍋を十分に熱しピーマンをさっと炒める。早めに取り出し、鍋肌が少し冷めたらしょうがのみじん切りをゆっくり炒め、強火にしたら牛タンを投入。
火が通ったらピーマンを戻しスープを入れてひと混ぜ。すぐに水溶き片栗粉を入れてとろみをつけて皿に盛る。黒胡椒をこれでもかという位に挽いてかける。



旦那の居場所は、なんと4ヶ月ぶりの再開でした。外食商品担当の営業を離れて、はや2年半。日々料理に接し料理のことを考えていないと、おいしい料理のアイディアは枯渇するものです。充電期間を経ての第一弾は「ピーマン」のおいしさを礼賛しました。
トウガラシと同種のピーマン、だから英語ではSweetPepper、ピーマンの語源も仏語のトウガラシを意味するPimentから派生した。

油と一緒に食べるとおいしいが、カロチンいっぱいだからとても理に適った食べ方といえる。育て方も簡単、苗を手に入れればベランダでも収穫できる。ビタミンも豊富だから酒を飲み飲みかじるのも案外良い食べ方なのかも知れない。

我が家では来客の時には決まってピメントのマリネを作る。レンジかオーブンで表面を焼き皮を向いたら、ビネガー・ローリエ・塩・胡椒のマリネ液に漬けておく。マリネ液は加熱などしなくて良いからビニール袋ですべてが完成してしまう。オリーブオイルをさっとかけた、赤・オレンジ・黄、鮮やかなピーマンが盛り皿に並べば、それだけで食卓が賑わいでしまうから、ホント「ピーマン」の魅力とは不思議なものです。

(03年2月 copywright hiroharu motohashi)

旦那の居場所第42回 「人参」礼賛

女将のダンナは「惣菜管理士」というあまり知られていない資格を持っている、 ただのサラリーマン。とにかく大の料理好き!・・で、このお店を間借りさせて あげることにしました。 名づけて「ダンナの居場所・・居酒屋のおやじを夢見て」。 これからも色々な素材を取り上げていきますのでお立ち寄りください。*この記事は1998~2005年に書かれています

ニンジンといえば、いつもニンジン人参目当てに疾走するTV漫画のうさぎを思い出す。小学生の時分、野生のうさぎを小学生時代にうさぎを裏庭で飼ったことがある。警戒心の強いこの野生のうさぎにえさをやるのに苦労した。生のニンジンをそっと金網から差し入れて食べさせる。長いこと小屋の前にしゃがんでは一緒にニンジンをバリバリ食べたものだ。怯えた動物にえさをやる場合は、まずそのえさを自分が食べてみせるに限る。小学生の僕は本気でそう考えていた。

● ● ● ● 人参のうまさの秘密 ● ● ● ●

ニンジンのうまさは、自然で慎ましく、素朴で深い甘さにある。ニンジンの甘さを引き立てるには、オレンジ等の柑橘系の酸味や、牛肉やバターなどの動物性脂肪がうってつけだ。肉質は緻密で、生で食せば「バリバリ」、煮ると「ほっこり」と柔らかくなり、変化が楽しめる。外側は色の濃い肉部、内側が少し白い心部で、心部は硬く味も落ちるような気がする。ニンジンの香りは独特で、これはもう「人参臭さ」としか例えようが無い。土臭さも気になることがある。この臭さが苦手という方は、丸ごとさっと蒸すとかなり和らぐ。蒸すことで、水分と一緒に臭いも飛散するように思う。しかし、ニンジン好きは、この風味が堪らないわけで、生で齧った時の風味は最高だ。


● ● ● ● ニンジンの料理法アレコレ ● ● ● ●

ニンジンの一番好きな食べ方は糠漬けだ。生ニンジンのバリバリッとした食感はそのままに、臭さが抜け甘味が増す。生といえば繊切りにしてそのままドレッシングで和えたり、塩もみして胡麻和えにして食べても美味い。繊切りは、半生程度の過熱加減でコンソメスープの浮き身としてもうまい。植物油脂との相性も良いので、ごま油やオリーブオイルで和えたり、炒めても合う。均一に火が通り味が染みたニンジンも最高で、スープ、シチュー、煮物などじっくり加熱する料理は本当に多い。

橙色の西洋種はオールマイティー、アジア型の紅色の京にんじん(金時)は、やはり煮物などの和食に合うように思う。ペースト状にしてスープやソースにしたり、ドゥーに混ぜてニンジンパンを焼いてもうまい。関西では、人参菜もよく見かける。若いニンジンの葉そのもので、スーパー等でごく普通に手に入る。せり科だけに葉の様子はせりかハーブかという感じ。おひたしやサラダ、和え物等、用途は広い。

● ● ● ● 「ニンジン」の個性と相性 ● ● ● ●

ニンジンは本当に面白い野菜だ。購入頻度は極めて高く、食卓にのぼる回数も多い。しかし悲しいかな、メイン食材にはなり得ない。キャロットスープ、キャロットジュース等、ニンジンメインのメニューもあるが、これとて、決してニンジン100%ではない。ニンジンだけでは風味が強すぎる一方で、味が単調で飽きやすい。洋の東西を問わず面白いことは、複数の素材の間を取り持つ緩衝材として、ニンジンを利用していることだ。風味の点では、でしゃばらない味と自然な甘味で、素材と素材をつなぎ止めたり、つけ合わせとしてメインの料理を引き立てたりする。食感という点でも、「ほっくり」や「しんなり」した柔らかさで全体をまとめる役割を果たしている。

例えば「きんぴらごぼう」も、ニンジンが入ることで、食べやすくなり、ごぼうの食感も引き立つ。炊き込みごはんや散らし寿司、カレーやシチュー、グラッセ等のつけ合わせ等、風味や食感の点で、こうした役割をニンジンが果たしている料理はたくさんあると思う。もう一つ食感がしっくり来ない、色目がさびしい、風味がまとまらない、こんなときはニンジンを加えると満足できる料理に生まれ変わること請け合いだ。奥ゆかしくも、なんと頼りになることか、ああ、うまいかな、ニンジン。


■■■ ・・ホントにうまい人参料理あれこれ・・ ■■■


ニンジンは胡麻との相性が何故か良い。ごまの持つ風味がニンジン独特の臭みを消し、
胡麻の甘味とにんじんの甘味が馴染んでうまさ倍増となる。「ごま人参サラダ」は、酒の肴に、ごはんの友に、栄養バランス完璧の一品。
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ニンジンとレンコンを同じ大きさ、同じ厚さにスライス。レンコンは酢水に放つ。水気を切り、ニンジン、レンコンの順のごま油で炒める。
レンコンはしゃきしゃきに、ニンジンはしんなりするまで火を通す。市販のシャブシャブのたれ(ごまだれ)で和え、黒胡麻を軽くあたりまぶす。
レンコンは予想以上に火の通りが早いし、ニンジンはなかなか柔らかくならない。時間差炒めに自信がなければ別々に炒めて最後に合わせると失敗しない。バランスとして、レンコンよりニンジンを多めに使うとうまい。

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何人か集まり、「さあワインでも抜こうか!」という時に冷蔵庫からさっと食卓へ直行できる楽しいおつまみ。彩りも良し、歯応えも良し、お酒との相性も良し(特に白ワインがお薦め)の「ニンジンのごろっとマリネ」。何よりも簡単だから良い。
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皮を剥いたニンジンを丸ごと歯応えを残す程度に蒸して大胆にカットし、ビニール袋に入れ市販の浅漬けの素につける。(2時間程度で充分)あとは皿に盛り付けるだけ。そのまま食べても良し。ソースやハーブと合わせても良し。
バジルペーストをオリーブオイルで伸ばしたソースなどが組み合わせとしてGOOD!ベビーキャロットで作っても可愛くて楽しい。それでも、簡単だからと手を抜かず、お客様に出す前に味見はちゃんとすること。

 


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ニンジンは牛肉との相性が抜群。肉の甘味やうま味を引き立てる。食感のコントラストも良く、食べて飽きない。また、ブラウン系のソースとの相性もよいから、ビーフシチューやハヤシライスには、やはりニンジンは欠かせない。相性の良いものだけを組み合わせた、まさに「いいとこどり」の「牛うす切り肉のニンジンシチュー」
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ニンジンは丸ごと蒸し、棒状に切る。(または棒状に切ってから電子レンジで加熱)
歯応えを残すようにオリーブオイルでさっと炒める。味付けは胡椒と塩。
牛肉のうす切り(廉価なものでよい)を適当な大きさに切り、塩コショウ、酒(または白ワイン)で揉み、片栗粉をまぶす。
フライパンでオリーブオイル、にんにくを熱し牛肉をさっと炒め取り出しておく。
同じ鍋に少量の水を入れ市販のビーフシチューのルー(缶や粉末のデミソースやハヤシライスのルーでも良い)を溶かし固めのシチューを作る。
シチューに肉を戻して絡めるように和え、皿に牛肉のシチューを盛り、にんじんを大胆に散らせば完成。 (写真のつけ合わせは、カッペリーニを短くちぎり、30秒ほど煮てから、水気を切り、オリーブオイルで炒めたもの。胡椒とバジルの風味を効かせる。バリバリとした食感が後をひく。)


 


旦那の居場所、今回は「人参(にんじん)」のおいしさについてでした。 ニンジンの濃い橙色はカロチン色素の色。この野菜はビタミンAのかたまりだ。ビタミンB類やCも含み、微量栄養素の宝庫といえる。カロチンは脂溶性ビタミンだから油脂と一緒に摂ると効率的にビタミンAが摂取できるという。


この綺麗な橙色ゆえに、ニンジン程飾り切りに使われる野菜は無いだろう。中国料理では、縁起の良い動物に細工されることが多いし、 日本料理では紅葉や桜の花の形に抜かれ、煮物など色の暗い料理に彩りを添える。 フレンチのシェフからニンジンのシャトー剥きを徹底的に教えて頂いたことがある。ペティナイフでラグビーボールのような綺麗な流線型の形にニンジンの面取りをするこの作業。 形の美しさだけではなく、均整の取れたトゥルナージュ(面取り)は、ベストな加熱調理の条件でもあるわけで、 普段何気なく口にしている付け合せにもプロの技が生きていることを実感した。


それにしても「肉じゃが」「筑前煮」「カレーライス」・・。不思議とお袋の味を思わせる料理には、必ずと言っていい程ニンジンが使われている。 今日の弁当のおかずは何かな?なんて蓋を開ければ、お煮しめの中に鎮座する真っ赤な京にんじん。ついつい最後まで食べずに残しておいてしまうというから、ほんと「人参(ニンジン)」の魅力とは不思議なものです。

(02年10月 copywright hiroharu motohashi)

旦那の居場所第41回 「夏の鍋」礼賛

女将のダンナは「惣菜管理士」というあまり知られていない資格を持っている、 ただのサラリーマン。とにかく大の料理好き!・・で、このお店を間借りさせて あげることにしました。 名づけて「ダンナの居場所・・居酒屋のおやじを夢見て」。 これからも色々な素材を取り上げていきますのでお立ち寄りください。*この記事は1998~2005年に書かれています


まだ、学生時代。はじめて訪ねた博多の地で、生まれてはじめて「モツ鍋」を食った。なんといううまさ!夏真っ盛り、汗だくだくで、鍋をつつく。にんにくの刺激。唐辛子の刺激。これぞ、夏にふさわしい庶民の鍋!鍋は冬。なんて、固定観念を根底から覆す、うまい、うまい、夏の鍋。

● ● ● ● 夏の鍋うまさの秘密 ● ● ● ●

「ああ夏なのに」何故、こんなに、汗を流しながら、わざわざ鍋をつつくのか?答えは簡単。「夏だから」。暑さに負けず、スタミナ補給。野菜も採りたい。ボーとした頭に渇を入れる刺激が欲しい。仲間で集い、家族で集い、夏祭り。キーワードは「暑い」「辛い」「ビールがうまい」そして、やっぱり「熱い」。じめじめした、日本の夏を吹き飛ばす、だから食べたい。ああ、うまいかな、夏の鍋。


● ● ● ● 夏の鍋の脇役たち ● ● ● ●

夏の鍋には、主役が薄い。本来、夏の素材で、鍋向きの素材は少ない。「どじょう」「いわし」くらいのものか。野菜に至っては、とんと見当たらない。でも脇役は豊富だ。夏だから欲しいスパイスたち。特に唐辛子の刺激は堪らない。他にも、青じそ、梅干し、みょうが、しょうが、わさび、らっきょう。鍋に放り込んでしまいたい、クセのある輩は枚挙に暇がない。そう、だから「夏の鍋」は、ポピュラーな素材を、味付けの工夫で変身させてしまう料理が多い。気温や湿度、素材に助けられて文句なしにうまい「冬の鍋」には太刀打ちできない、ラジカルな凄さがある。


● ● ● ● ああ うまいかな 夏の鍋 ● ● ● ●

隅田川の界隈には、今尚、古風な「どぜう鍋」屋が点在する。おみやげにもなる、団扇でせめてもの抵抗を試みながら、汗だくで食べる「まる鍋」は何と言っても夏の風物だ。ねぎと山椒をたっぷりかければ、いくらでも胃袋に落ちていく。ビールに良し、冷酒に良し、ごはんに良し。花火の時期になると、どうしてもあの割り下の香りが恋しくなる。

アジア各地の鍋も夏向きだ。唐辛子、山椒、キムチ、にんにく・・・。麻(舌にぴりぴり)とラー(とにく辛い)の味付けが最高だ。タイスキ(タイ)、四川の火鍋(中国)、カムジャタン(韓国)など、逸品は数知れず。ニョクマム、干し海老、干し魚などスープのコクを支える隠し味も涙モノ。固定観念を捨てて、さっぱりと未知の鍋にトライしたい。

■■■ ・・ホントにうまい夏の鍋あれこれ・・ ■■■


「もつ鍋」ブームの終焉、「狂牛病」騒ぎと「もつ鍋」ファンには残念な昨今だ。スーパーの肉売り場でも、牛のモツは見かけなくなった。それでも食べたいモツ鍋!もちろん、牛モツが苦手という人は豚モツや鶏肉、ミートボール等でもうまい。学生時代、博多ではじめて食べた、あの「幻のモツ鍋」のだしを再現するために、数ある調味料を試し、隠し味を探し続けた。多くの試行錯誤の上、味のベースは「にんにくのうま味」だという、シンプルな答えに行きついた、「幻のモツ鍋」
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(だし)
鍋に日本酒2カップ、みりん1カップを入れ、にんにくのみじん切り(2~3片分)を投入。沸騰したら3分程度で火を止める。鍋にふたをして、予熱でにんにくの風味をじっくり移す。(最低3時間)さらに鍋を熱し沸騰したら、醤油を2カップを加え1分加熱、火を止め鷹の爪を2本入れて、さらに寝かせる。(最低3時間)次に鍋を熱し、水を7~8カップ加えて味見。コクを補うために「さきイカ(いかの燻製)」を30g程度入れて煮る。「さきイカ」は鍋の具として食べてしまっても良いし、取り出してごま油でさっと炒め、ラー油を効かせて別の品にしても良い。
(具)
モツはよく洗い、沸騰したお湯にしょうがと一緒に入れ火を通す。ざるにあけ、またよく水洗い。キャベツ、にらを大量に刻む。補充用のにんにくと鷹の爪をスライス。にんにく、鷹の爪→モツ→野菜の順で軽く煮ては食べ、軽く煮ては食べを繰り返す。その都度冷たいビールの栓を抜けば、ビールはあっという間に胃袋に収まってしまう。最後にチャンポン麺をだしで煮る。にんにくと唐辛子風味のチャンポン麺はどんなに満腹でもペロッと食べられるのでお試しあれ。


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夏だから調理に時間をかけたくない。まして加熱調理は最低限にしたい。しかも、ごはんがススム、スタミナ料理!といえばこの鍋を置いて他にない。市販の具材入り「麻婆春雨」の素を使った、とてつもなくうまい、「ごはんがススムくん、春雨鍋」。土鍋を使う場合は、炒め工程は別の鍋で済ませよう。

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「ごはんがススムくん 麻婆春雨用(甘口)」の他に材料は、ひき肉(300g)、なす(2本)、ねぎ、にんにく、しょうが程度でOK。鍋にごま油を熱し、にんにく・しょうがのみじん切りで香りを立たせたら、ひき肉、なすを炒める。水800~900cc(製品には400ccと書いてある)を入れて、ねぎの青いところと、添付の春雨を投入。煮立ったら添付の具材入り調味料(レトルトパック)を入れ、かきまぜて火を止め、しらが葱を散らす。最後のおつゆに、ご飯を入れて「おじや」にすれば、子供は何杯でもおかわりする。具材として、お麩や豆腐、ひきにくの代わりに豚肉のうす切り、白身の魚等を入れても良い。

注)規定の分量より2倍程度薄めて、「麻婆春雨」の素を使いますので、味に深みとコクがある、「ごはんがススムくん」シリーズでないと、おいしく出来ません。また、子供がいなければ、「中辛」が良いでしょう。


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カルビ肉を炒るように煮る。クセの強い野菜とともに頬張る。コチュジャンのコク、りんごの甘さ、山椒のぴりりで、ビールもススム。赤ワインをがぶ飲みしたい時にも、この鍋は最高。「コリア風カルビ鍋」

 
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たれは、酒100ccを煮立て、次にみりん100cc、これも煮立ったら、醤油100ccを入れて沸騰直前に火を止める。冷蔵庫でしばらく寝かす。食べる直前に、りんご(約半分)としょうが(少々)のすりおろしを加える。具材の準備、ごぼう、にんにくの芽、メンマ、赤ピーマンは下茹でする。しし唐辛子は洗うだけ。えのきは細かく刻む。カルビ用の牛肉は食べる直前、ボールの中で、ごま油、しょうが・にんにくのすりおろしをよく揉み込む。すき焼き鍋にごま油を熱し肉、野菜を入れてジュージュー焼いたら、たれを振り入れて炒るように煮込む。 すぐに煮えるので、焼き肉の要領でどんどん入れて、どんどん食べる。



旦那の居場所、今回は「夏の鍋」のおいしさについてでした。「冬の鍋」の回では、ピーナッツ鍋が好評で、フジテレビの番組「東京ジモティー」の鍋特集に出演しました。今回の鍋はそれを上回る役者揃い、中でも「ごはんがススム君 春雨鍋」のうまさは想像を越えています。 さっそくお試しあれ。 今回、「夏の鍋」を礼賛するにあたり、家族で連夜、鍋を楽しみました。流石に6歳の娘は夕方、友達の家から帰ってくるなり、今日も鍋と聞いて一気に落ち込んだ様子でした。 確かにいくらうまいからと言って、子供にとって真夏に毎晩、鍋というのも苦しいですよね。

「旦那の居場所」は読者の想像力に任せて、おいしい料理を頭と舌で想起し、試行錯誤しながら、実際に作ってみる過程を 大切にしたいとのコンセプトから、レシピの詳細は敢えて記載しない方法を採っています。しかし、実際に我が家で「冬の鍋」を食べた読者から「ページを参考に自分の家で作ったものとは全然違う!」との反響が大きかったため、今回はだしの調合を簡単に記載することにしました。

でも、家庭により使っている醤油やみりんは違うし、味の好みにも個性があるので、鵜呑みにしないで我が家の味を創作してください。 冷蔵庫の残り物が気になるのは冬よりむしろ夏!食欲のすすまない夏こそ鍋でスタミナ補給といきたいものです。それにしても熱帯夜の続く中、わざわざ鍋を囲まなくてもと、自嘲しながら、またやっぱり食べたくなってしまうというから、ほんと「夏の鍋」の魅力とは不思議なものです。

(02年8月 copywright hiroharu motohashi)

旦那の居場所第40回 「おくら(秋葵)」礼賛

女将のダンナは「惣菜管理士」というあまり知られていない資格を持っている、 ただのサラリーマン。とにかく大の料理好き!・・で、このお店を間借りさせて あげることにしました。 名づけて「ダンナの居場所・・居酒屋のおやじを夢見て」。 これからも色々な素材を取り上げていきますのでお立ち寄りください。*この記事は1998~2005年に書かれています


オクラの原産地はアフリカ。ここではトマトベースのシチューにオクラを入れて食べる。今年5月のアフリカ出張では、ウエットマーケット(市場)に山積みされたオクラに遭遇。日本で食べるオクラより短く、太さはほぼ2倍以上、ずんぐりむっくりのオクラは、かの地では極めてポピュラーな野菜。日本に渡来したのは幕末だが、小学校の頃(30年程前)からよく見かけるようになったと思う。
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独特の形や香りから、喰わず嫌いの御仁も多いが、丸ごとかじりつく、オクラのうまさといったら言葉にできない。
さて、旦那の居場所、今回は「オクラ(秋葵)」を礼賛したい。

ナイジェリア、ラゴスのウエットマーケット「Miles12」(12マイル市場)でオクラを売る人
(現地の人の暮らしを支えるこのマーケットに立ち寄る日本人は、旦那の勤める会社=「味の素㈱」の現地駐在員くらいしかいない)
PhotoBy HiroharuMotohashi May,2002


● ● ● ● オクラうまさの秘密 ● ● ● ●


オクラはあの独特のネバネバがうまい。混ぜるほどにねばりが増す。和え物に良し。酢の物に良し。汁物にすれば、このネバネバのおかげで、ぬめりのある汁になる。夏の暑い夕方に、このぬめりのある冷たい酢の物なんかで、キューッとビールを飲んだら最高だ。活動の鈍った胃袋に、ネバネバが活力を与えてくれる。醤油、酢、味噌との相性も良く、また、かつおぶしや「味の素」のうま味でエグ味は消える。山芋、ジュンサイや納豆など、他のネバネバ系の食材と合わせると、うまさが倍加する。しょうが、トマト、なす、きゅうり、みょうが等、夏向きの野菜との組み合わせも抜群だ。


● ● ● ● オクラのうまい食べ方 ● ● ● ●

6歳の娘はオクラ好き。さっとボイルしたオクラを丸ごとマヨネーズをつけてバリバリ食べている。一本丸ごとバリバリ方式なら、一夜漬けやマリネ、ピクルスにしてもうまいし、ぬか漬けもいい。食感を残して丸ごとカラッと揚げた天ぷらも最高だ。煮込みなら、ぶつ切りにして、ナスやトマトと一緒にオクラカレーもおいしい。何よりシンプルなのは朝ご飯。小口に切ったオクラに醤油を入れてよくかき混ぜ、かつおぶしや「ほんだし」で味付け。炊き立てのアツアツご飯にかければ、ネバネバと一緒に、ご飯一膳があっという間に胃袋に落ちていく。種子は舌に残るし、苦味があるので、日本料理では取り除かれることが多い。家庭では気にせず、ぷつぷつ食べてしまいたいが、あの苦味が苦手という人は、種を除いてお試しあれ。


■■■ ・・ホントにうまいおくら料理あれこれ・・ ■■■

夏を涼やかに過ごすためは、食べ物の工夫が欠かせない。きりリと冷やした稲庭うどんをネバネバのオクラつゆにつけて食べる。「浴衣の君はすすきのかんざし~」なんて、拓郎を思わず口ずさんでしまう。風流な「稲庭うどんオクラつゆ」

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オクラを小口からスライス。市販のめんつゆを鍋で温めオクラを茹でる。そのまま冷やせば、ネバネバのめんつゆの出来上がり。薬味はみょうが、しょうがを必需として、後は好みで。乾麺の稲庭は程よく茹でて冷水できりり冷やして。


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オクラのバター炒めは予想以上にうまいもの。ぴりりと胡椒を利かせて。「オクラの黒胡椒バター炒め」
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オクラは斜めに小口きり。器に取りネバリがでるまでかき混ぜる。醤油と「ほんだし」で味付け。鍋にサラダ油を熱し、オクラをさっと炒め、黒胡椒をふる。最後にバターで風味をつける。

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原産地に極めて近い食べ方。トマトベースの味付けでオクラを煮て食べる。夏向きに上品な。加熱時間は1分程度、夏にはうってつけの簡単メニュー。「オクラのトマトスープ」

okura04.jpg オクラは刻んでかき混ぜる。鍋に「クノールカップスープ 完熟トマトのポタージュ」を入れて分量のお湯で溶く。これに刻みオクラを入れて1分間程茹でて、器に取り、冷蔵庫でよく冷やす。スープとして飲んでも良いが、細いロングパスタに絡めて、冷たいスパゲティーにしても良い。ご飯にかけても、意外とおいしい。



旦那の居場所、今回は「オクラ(秋葵)」のおいしさについてでした。花が終わると、残されたガクが伸び始め、すくっと天を目指して、あっと言う間に成長するオクラ。 オクラのひょろりという尻尾は、実は天に向かって伸びるオクラの命の先端なのでした。

カルシウム、鉄、カロチン、ビタミンCを多く含むこの野菜、やはり夏にたくさん食べたい野菜の代表です。 咽喉越し最高の冷たい茶碗蒸、具は何かなとドキドキしながら、食べ進むにつれ、五稜の形の緑のオクラが出てきただけで、すーっと涼やかな気持ちにさせてくれるというから、ほんと「オクラ」の魅力とは不思議なものです。

(02年7月 copywright hiroharu motohashi)

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