2012年2月の記事

旦那の居場所第4回 世界のビール礼賛

女将のダンナは「惣菜管理士」というあまり知られていない資格を持っている、 ただのサラリーマン。とにかく大の料理好き!・・で、このお店を間借りさせて あげることにしました。 名づけて「ダンナの居場所・・居酒屋のおやじを夢見て」。 これからも色々な素材を取り上げていきますのでお立ち寄りください。*この記事は1998~2005年に書かれています

20才の頃に世界の缶ビール集めに凝った。鮮度が命だから中身は胃袋へ、空缶を集める。 輸入ビールは当時(15年前)珍しかったが、大きな段ボール5つ程になった。 缶のデザインや表示を見てはそのビールの歴史や産地の風土に思いを馳せた。 学生時代に通った銀座のビヤホール ピルゼン。ここではじめてピルスナーや黒ビールを飲んだ。 最初はおいしいとは思わなかったが、こんなビールが似合う大人になりたいと思って背伸びをした。 当然、まだ出会う前だが、同い年の女将も学生時代からピルゼンにはよく通っていたらしい。

◆ビールのうまさ◆

麦芽とホップ、水。原料は同じでも、風土・水の違い、ブルワリー(醸造所)の違い、ブルーワー(醸造士)の違いで、百様のビールができる。 うまいビールはグラスに注いだ時の泡立ちから違う。そして美しい色。グラスに鼻を近づけた時のアロマ。 モルトの香り、ホップの香り、そして、発酵がもたらす果実の様な香り。そして、口に含んだ時の感覚、口当たり。 最後に、口や鼻全体に感じる、コクやふくらみ、風味、バランス。 原料、製法、こうすればきっと理想的なビールができる・・ブルーワーの仮説とそれを形にできるかどうかの技術がモノを言う。 ビールの種類に応じて、飲む時の温度も管理したい。

◆ビールにあうつまみ◆

「この料理には、こういうビールがよく合う。」というのが必ずあると思う。 タイ料理には、シンハービールがやはり美味しい。 ドイツでビールを飲み歩いたが、通い詰めたのは、イタリア人が一人で切り盛りするピザハウスだった。 僕の嗜好としてはアイスバインやソーセージより、ピザやラビオリの方がドイツビールには合っている様に思えた。 日本のラガータイプのビールにあうつまみと、エールタイプのビールにあうつまみは違うのではないか。というのが最近の関心事だ。 この答えを得るためには、まずはビールそのものを知らなくてはならない。日本地ビール協会に入会して、アドバンストエバリュエイターの資格を得た。 日本各地の地ビールレストランのメニューを研究したり、アメリカの繁盛している地ビールレストランを訪ねて、片っ端から料理を頼んだりもした。 それでも未だにその答えは見つからない。

★★★ホントにおいしい・・「ビール」にあうあの料理★★★

絹さやは本当においしい野菜。緑を思わせる独特の風味と、しゃきしゃきの食感。油との相性も良い。 油も、サラダ油、バター、オリーブ油、ごま油といろいろに合わせてみると、ガラッと表情が変り、 あわせたいビールの種類も変ってしまう。エールでも良いが、よく冷えたピルスナーなどの ラガータイプにうってつけの「絹さやとブラウンマッシュルームの炒め物」

wbeer01.jpg●●●「絹さやとブラウンマッシュルームの炒め物」 ●●●
絹さやはすじを取り、冷水に放つ。加熱直前に水切り。 大きめにカットしたブラウンマシュルームと一緒に、 好みの油でシャッキっと炒めて、塩・こしょうで味付け。 温野菜のような感覚で、モリモリ食べる。



チーズといえばワインと考えがちだが、個性の強いこの両者をマッチングさせるのは意外と難しい。その点、ビールやウイスキーなら、あまり苦労なく、チーズとのハーモニーを楽しめる。 ビールの多くは食中酒だが、食前に飲みたいもの、食後のくつろぎに時間をかけ楽しむもの、デザートと 合わせたいものなど、数限りない。「カリカリベーコンの焼きカマンベール」なら、オードブルとしても、食後酒の軽いつまみとしてもピッタリ。イギリスのスタウトや、ベルギーのトラピストタイプを舐め舐めいかが?


wbeer02.jpg●●● 「カリカリベーコンの焼きカマンベール」●●● 

カマンベールは横半分に輪切り、切り口を上に向けオーブンでアツアツに。 お皿に盛り、上からカリカリベーコンを散らして出来上がり。 好みでフレンチパセリなどのハーブの風味をプラスする。 野菜ステイックやグリッシーニ、ガーリックトーストをステイック状にカットしたやつなどでチーズをすくいながら 食べてもおいしい。オードブルなど時間が経ってから食べるならチーズは加熱せず、室温で2~3時間置くとクーリーミーで トロトロの状態になるので、この食べ方がうまい。



豆苗(とうみょう)という中国野菜を見かけることが多くなった。豆苗とはえんどう豆の若芽の部分。 しゃきしゃきとした食感が楽しく、個性的な風味を持っている。カルシウムや鉄分に富み栄養価も高い。 豆苗といえば我が家では決まってこの料理。「豆苗と豚肉の炒め」 簡単でおいしく、ビールがすすむ。 イギリスのペールエールや、ヴァイツェンなどのドイツスタイルのエールビールに適。

wbeer03.jpg●●● 「豆苗と豚肉の炒め」●●●
豆苗はザク切り。豚うす切りは、塩・胡椒・酒(日本酒かウイスキー)でよくもみ、片栗粉・ 油を入れてさっと混ぜる。あわせ調味料は醤油2に対し、酒1(しょうこう酒でもよい)、砂糖1、 オイスターソース1の割合であわせておく。カンカンに熱した鍋に油をなじませ、一度温度を 落し、しょうがとにんにくの微塵切りを入れ油に香りを移したら強火にして、肉を炒める。 火が通ったら、豆苗、あわせ調味料を入れて、水とき片栗粉で仕上げる。 好みで、豆板醤をいれても良い。



旦那の居場所、今回は「世界のビール」のおいしさについてでした。 手に入れにくかった世界のビールも、今では豊富に飲めるようになりました。 何より嬉しいのは、94年4月の酒税法改正を受けて、日本国内に多くの地ビールのブロワリーが誕生し 質の高い様々なビールを楽しめるようになったことです。大きな投資、たゆまぬ研究を積み重ねていらっしゃる事業家の皆さんの努力に心から敬意を払い、地ビール産業の発展をお祈りします。 がしかし、赤ワインのように、にわかブームになって、お気に入りの銘柄が手に入らなくなるのもヤダから、あまり目立たないで~な んて無責任なことも考えたりするから、酒飲みという奴は不思議なものです。

(追記)世界のビールに興味がある方は、日本地ビール協会への入会、講習会の受講をお勧めします。一日の講習で30種類程度のビールをテイスティングしながら、五感をフルに使ってビールの素晴らしさに出会えます。
問い合わせ先 日本地ビール協会 TEL(0797)-31-6911 まで
参考書としては、日本の地ビール第一号、エチゴビール社長 上原誠一郎著「ビールを楽しむ」ちくま新書 を愛読しています。
98/7月

旦那の居場所第5回 茄子礼賛

女将のダンナは「惣菜管理士」というあまり知られていない資格を持っている、 ただのサラリーマン。とにかく大の料理好き!・・で、このお店を間借りさせて あげることにしました。 名づけて「ダンナの居場所・・居酒屋のおやじを夢見て」。 これからも色々な素材を取り上げていきますのでお立ち寄りください。*この記事は1998~2005年に書かれています

「秋茄子嫁に食わすな」の諺の本意が諸説あるのはご存知の通り。とはいえ、ナスの旬はやはり夏。 旦那の実弟(東北地方各県で勤務すること10年)の案内で、女将と一緒に東北3大祭りを制覇した夏。 小なす漬けとビールは片時も手元から離さなかった。「民田(みんでん)」「ちび丸」などがこの手の小なす漬けの品種。 丸なすよりも、草勢は弱く、寒さ・暑さにも弱いそうな。地方によって、呼び名もいろいろ。丹波や山形の小茄子も絶品の誉れあり。 最近では海外で生産したものを塩漬けし、 国内で本漬けすることもあるという。

◆ナスとは「一生の伴侶なり」◆

旦那幼少のみぎり、どうしても好きになれない野菜に「ナス」があった。まず、あの「気持ち悪い昆虫」を思わせる皮の色、 次に食感…。糠漬けの時のグニュ、ジュワー。味噌汁の時のスポンジ。 どうしてこれがうまいのか?真剣に悩んだりした。それが一転してナスを好きになったのは 酒を飲むようになってからだ。今ではナスの漬物は大好物。王様は糠漬け、塩もみもいい。しば漬けのシャキカリ感もたまらない。 みょうがや胡瓜、トマトなど夏野菜達との相性も良い。千葉は松戸の後輩の家でお土産に頂いたからし漬けは絶品だった。

◆ナスのうまさの秘密◆

ナスのうまさの第1は、油との相性。天ぷら、炒め物などなんでもござれ。それでいて、漬物にした時には皮のパリンとした食感が小気味よい。味噌やからし、しょうが、醤油、酢との相性まで良い。煮物、炊き物ではほっくりと味がしみて、うまみを体全体で受け止める。 賀茂ナス、米ナスを油であげて柚子味噌などを塗ったりしたら、もう反則的にうまい。誰がこんなおいしいマッチングを考えたのだろうと、脱帽してしまう。 火が通るほどに果肉はとろける様にジューシーになり、甘みを帯びる。

居酒屋でも何故か「焼きナス」があると頼んでしまう。皮の焼けた香ばしい匂い、ゆらゆらと揺れる削り節、おろししょうがにさっとかけた醤油の香り。
と、まあ、ナスとはまことにいろいろなお料理に出番の多い野菜なのであります。

★★★ホントにおいしい・・「茄子」にあうあの料理★★★


イタリアはローマの安宿のおかみさんに紹介してもらったレストラン、そこで食べた前菜。
素材が何かわからない程、やわらかく、うま味がしみ込んだ、よく冷えていた料理。世界にナスは1500種類あるので、この時のナスはどんなナスだったかはわかりません。 オリジナルはきっと一度オリーブ油で素揚げしていたと思うが・・
イタリア料理のはずなのに、急に日本を思い出させたあのやさしい味の「ローマのナスの冷製」

nasu01.jpg●●● 「ローマのナスの冷製」●●● 
ナスは丸ごと焼く。(時間がない時は生のまま皮をむいて油で炒める) 完全に火が通ったら 皮をむき、今度はごくうす味のコンソメで煮込んでいく。単調な味にならないよう市販のコンソメに、 ねぎや玉ねぎなどを一緒にいれて煮てもいい。オリーブオイルを入れるとぐっと 味が膨らむ。物足りない時は、こしょう、塩、白ワインなどで味を調える。 この料理に関しては、醤油はあまり良い隠し味にはならない。



女将の作ったこの料理のあまりのうまさに皿を抱え込んで食べてしまった。女将の得意は和え物・・。そのオペレーションは至って簡単。材料を切って、(茹でるか炒める)、和える。 材料、切り方、あわせ調味料によって、和にも洋にも中華にもなってしまう。 女将の料理にしては、これは手をかけている部類に入る。これはナニかな? 名付けて「和風ラタトウーユ」

nasu02.jpg●●● 「和風ラタトウーユ」 ●●● 

ナス、ピーマン、きゅうり(あればズッキーニ)、トマトは適当な大きさに切り、しょうがは微塵切り。 材料をすべて多めのゴマ油で炒め、ほんだしと醤油で隠し味。 冷たく冷やしていっぱい食べよう。 ししとうやオクラなどを入れてもいい。長ネギなども意外とマッチ。 敢えて「和風」でなく、オリーブ油、にんにく、バジルなどでこしらえても、もちろんうまい。



我が家でナスといえばこの料理も多い。加茂ナス(ホントはきっと米ナス)を見かけるとつい作ってしまう。手作りの柚子味噌だと、なおさらおいしく感じてしまう。…「ナスの柚子味噌田楽」 もちろん油でほっくりと揚げたナスは本当においしいが、ちょっと手間で・・という時にもおすすめ。


nasu03.jpg●●● 「ナスの柚子味噌田楽」 ●●● 

加茂ナスは皮のまま半分に切る。(縦割りか横割かは意外と好みがある)食べやすいように身に切り込みを入れたりすればプロっぽい。 多めの油で皮も身も揚げるように軽く炒め、ラップで包んで電子レンジで柔らかく。 この方法だと比較的簡単に短時間でホクホク、ジュワーの調理が出来る。 揚げるより油の吸収も少なくあっさりできる。油で炒めることで、色もとまる。(アクによる変色防止) 熱いうちに柚子味噌を身の表面に塗ってフーフー食べる。


*柚子味噌の作り方 麦味噌、砂糖(ざらめなどもいい)、みりん、柚子の皮(もったいないから果汁も)を 鍋でよく煮込む。テフロンなら焦げ付かず簡単。好みでいりゴマや粉砕した煮干しなどいれてもいい。本当にうまいので、是非一度手作りを。多めに作って冷蔵庫で保存。




旦那の居場所、今回は「茄子(ナス)」のおいしさについてでした。 ナスはほとんどが水分で、栄養価はあまりないのですが、食物繊維が豊富でポリフェノールを多く含んでいるところなぞは、今話題の存在といえましょう。
本来アクの強い野菜ですが、古来、塩や塩水でアクを抜いたり、油で色をとめたり・・と生活の知恵でうまく付き合ったきたわけです。
日本料理だけでなく、中国料理、イタリアン、フレンチと何れの食材としても重宝されているのは流石です。
でもそこはやはり日本人、ホントにうまい茄子の漬物が出てきたりすると「うーんおぬしやるな」と、唸ったりなんかしてしまうから不思議なものです。

98/8月

旦那の居場所第3回 世界のビール礼賛

女将のダンナは「惣菜管理士」というあまり知られていない資格を持っている、 ただのサラリーマン。とにかく大の料理好き!・・で、このお店を間借りさせて あげることにしました。 名づけて「ダンナの居場所・・居酒屋のおやじを夢見て」。 これからも色々な素材を取り上げていきますのでお立ち寄りください。*この記事は1998~2005年に書かれています


20才の頃に世界の缶ビール集めに凝った。鮮度が命だから中身は胃袋へ、空缶を集める。 輸入ビールは当時(15年前)珍しかったが、大きな段ボール5つ程になった。 缶のデザインや表示を見てはそのビールの歴史や産地の風土に思いを馳せた。 学生時代に通った銀座のビヤホール ピルゼン。ここではじめてピルスナーや黒ビールを飲んだ。 最初はおいしいとは思わなかったが、こんなビールが似合う大人になりたいと思って背伸びをした。 当然、まだ出会う前だが、同い年の女将も学生時代からピルゼンにはよく通っていたらしい。

◆ビールのうまさ◆

麦芽とホップ、水。原料は同じでも、風土・水の違い、ブルワリー(醸造所)の違い、ブルーワー(醸造士)の違いで、百様のビールができる。 うまいビールはグラスに注いだ時の泡立ちから違う。そして美しい色。グラスに鼻を近づけた時のアロマ。 モルトの香り、ホップの香り、そして、発酵がもたらす果実の様な香り。そして、口に含んだ時の感覚、口当たり。 最後に、口や鼻全体に感じる、コクやふくらみ、風味、バランス。 原料、製法、こうすればきっと理想的なビールができる・・ブルーワーの仮説とそれを形にできるかどうかの技術がモノを言う。 ビールの種類に応じて、飲む時の温度も管理したい。

◆ビールにあうつまみ◆

「この料理には、こういうビールがよく合う。」というのが必ずあると思う。 タイ料理には、シンハービールがやはり美味しい。 ドイツでビールを飲み歩いたが、通い詰めたのは、イタリア人が一人で切り盛りするピザハウスだった。 僕の嗜好としてはアイスバインやソーセージより、ピザやラビオリの方がドイツビールには合っている様に思えた。 日本のラガータイプのビールにあうつまみと、エールタイプのビールにあうつまみは違うのではないか。というのが最近の関心事だ。 この答えを得るためには、まずはビールそのものを知らなくてはならない。日本地ビール協会に入会して、アドバンストエバリュエイターの資格を得た。 日本各地の地ビールレストランのメニューを研究したり、アメリカの繁盛している地ビールレストランを訪ねて、片っ端から料理を頼んだりもした。 それでも未だにその答えは見つからない。

★★★ホントにおいしい・・「ビール」にあうあの料理★★★

絹さやは本当においしい野菜。緑を思わせる独特の風味と、しゃきしゃきの食感。油との相性も良い。油も、サラダ油、バター、オリーブ油、ごま油といろいろに合わせてみると、ガラッと表情が変り、あわせたいビールの種類も変ってしまう。エールでも良いが、よく冷えたピルスナーなどのラガータイプにうってつけの「絹さやとブラウンマッシュルームの炒め物」

●●●「絹さやとブラウンマッシュルームの炒め物」 ●●●
絹さやはすじを取り、冷水に放つ。加熱直前に水切り。 大きめにカットしたブラウンマシュルームと一緒に、 好みの油でシャッキっと炒めて、塩・こしょうで味付け。 温野菜のような感覚で、モリモリ食べる。


チーズといえばワインと考えがちだが、個性の強いこの両者をマッチングさせるのは意外と難しい。その点、ビールやウイスキーなら、あまり苦労なく、チーズとのハーモニーを楽しめる。 ビールの多くは食中酒だが、食前に飲みたいもの、食後のくつろぎに時間をかけ楽しむもの、デザートと 合わせたいものなど、数限りない。「カリカリベーコンの焼きカマンベール」なら、オードブルとしても、食後酒の軽いつまみとしてもピッタリ。イギリスのスタウトや、ベルギーのトラピストタイプを舐め舐めいかが?


●●● 「カリカリベーコンの焼きカマンベール」●●● 

カマンベールは横半分に輪切り、切り口を上に向けオーブンでアツアツに。 お皿に盛り、上からカリカリベーコンを散らして出来上がり。 好みでフレンチパセリなどのハーブの風味をプラスする。 野菜ステイックやグリッシーニ、ガーリックトーストをステイック状にカットしたやつなどでチーズをすくいながら 食べてもおいしい。オードブルなど時間が経ってから食べるならチーズは加熱せず、室温で2~3時間置くとクーリーミーで トロトロの状態になるので、この食べ方がうまい。



豆苗(とうみょう)という中国野菜を見かけることが多くなった。豆苗とはえんどう豆の若芽の部分。 しゃきしゃきとした食感が楽しく、個性的な風味を持っている。カルシウムや鉄分に富み栄養価も高い。 豆苗といえば我が家では決まってこの料理。「豆苗と豚肉の炒め」 簡単でおいしく、ビールがすすむ。 イギリスのペールエールや、ヴァイツェンなどのドイツスタイルのエールビールに適。

●●● 「豆苗と豚肉の炒め」●●●
豆苗はザク切り。豚うす切りは、塩・胡椒・酒(日本酒かウイスキー)でよくもみ、片栗粉・ 油を入れてさっと混ぜる。あわせ調味料は醤油2に対し、酒1(しょうこう酒でもよい)、砂糖1、 オイスターソース1の割合であわせておく。カンカンに熱した鍋に油をなじませ、一度温度を 落し、しょうがとにんにくの微塵切りを入れ油に香りを移したら強火にして、肉を炒める。 火が通ったら、豆苗、あわせ調味料を入れて、水とき片栗粉で仕上げる。 好みで、豆板醤をいれても良い。


旦那の居場所、今回は「世界のビール」のおいしさについてでした。 手に入れにくかった世界のビールも、今では豊富に飲めるようになりました。 何より嬉しいのは、94年4月の酒税法改正を受けて、日本国内に多くの地ビールのブロワリーが誕生し 質の高い様々なビールを楽しめるようになったことです。大きな投資、たゆまぬ研究を積み重ねていらっしゃる事業家の皆さんの努力に心から敬意を払い、地ビール産業の発展をお祈りします。 がしかし、赤ワインのように、にわかブームになって、お気に入りの銘柄が手に入らなくなるのもヤダから、あまり目立たないで~な んて無責任なことも考えたりするから、酒飲みという奴は不思議なものです。

(追記)世界のビールに興味がある方は、日本地ビール協会への入会、講習会の受講をお勧めします。一日の講習で30種類程度のビールをテイスティングしながら、五感をフルに使ってビールの素晴らしさに出会えます。
問い合わせ先 日本地ビール協会 TEL(0797)-31-6911 まで
参考書としては、日本の地ビール第一号、エチゴビール社長 上原誠一郎著「ビールを楽しむ」ちくま新書 を愛読しています。
98/7月

旦那の居場所第2回 浅蜊(アサリ)礼賛

女将のダンナは「惣菜管理士」というあまり知られていない資格を持っている、 ただのサラリーマン。とにかく大の料理好き!・・で、このお店を間借りさせて あげることにしました。 名づけて「ダンナの居場所・・居酒屋のおやじを夢見て」。 これからも色々な素材を取り上げていきますのでお立ち寄りください。*この記事は1998~2005年に書かれています

瀬戸内は岡山県児島の磯辺から、唐琴丸(カラコトマル)という小船に乗って漕ぎ出すと、干潮時にのみ顔を出す 絶好の潮干狩りスポットがある。沖合いにできた幻の砂辺を唐琴丸は定期的に往復しお客さんや、ビールや焼きそば などの出前を乗せてやってくる。 潮が満ちて、この砂の小島が瀬戸の海に飲み込まれるまでのドキドキ、ワクワクの潮干狩り。

◆金沢の料理屋で

女将の九谷焼出張のお供で金沢に行った。旦那の楽しみは地酒と肴。料理屋「音羽屋」の「あさりの酒蒸し」はうまかった。 大根にもたっぷりと上品なうまみがしみ込んだ絶品。しかも、見たこともない大きなあさり、殻の長さが8cm もあろうか。さすが、荒海の日本海では、アサリはこんなにもたくましくなるのか・・
女将(注):彼は絶品だ!と店のご亭主と意気投合しながらカウンタ-で深い眠りに・・・

しかし、見慣れたアサリとは、いささか大きさが違いすぎる。調べた結果、アサリとは別種の内紫(ウチムラサキ)貝か 小玉(コタマ)貝ではないか思われた。2種とも北海道から九州にかけて広く分布し、地方によっては、オオアサリ、 アサリと呼ばれる。大きいからといって決して「おおあじ」ではない、オオアサリに感激。

◆アサリのおいしさの秘密

アサリのうまさは、あの独特のコクとうまみだ。舌の根元の両側を刺激するパワー。詳しくはないが、 コハク酸、グルタミン酸、グリシンあたりのうまみなのだろう。そして、疲れた肝臓を癒して くれるような複雑な風味と、個性的な食感だ。 「あさり~、しじみ」幼い頃はしじみ売りが・・、と書きたいところだが、流石にそういう記憶はない。


魚屋さんの店先で水につかって、時々ピューと潮を吹く。それがアサリだった。 今ではパックに入ってスーパーの冷陳ケースに整然と並ぶ。 でも、幼い頃には知らなかった一番好きなアサリの食し方を楽しんでいる。 二日酔いの朝のアサリの味噌汁。これに勝るアサリ料理はない。


★★★ホントにおいしい・・「アサリ」のあの料理★★★


小さい時から大好きだったアサリ料理がある。アサリの持つうまみ、甘みが大根にしみ込んで。 名前などないのだが、 「アサリと大根の炒め煮」 というのだろうか。


asari01.jpg●●●「アサリと大根の炒め煮」●●●

大根は、長さ5cm、幅2cmの短冊切り。これを油でさっと炒め、 水、酒、アサリを入れて煮込む。味付けは、塩、胡椒で。 アサリのおいしさのためには、醤油、砂糖などは入れないか、ごく少量に。 水、酒であらかじめ、アサリをさっと煮て、その煮汁で大根を煮れば、 アサリを煮過ぎないで済む。時間があればおすすめの方法。 コンソメベースの牛乳隠し味で洋風仕立て、豆板醤、オイスターソースで中華風でも良し。


どこで食べた「アサリそば」がうまかったのか思い出せないが、台湾料理店ではなかったか? 渋谷の台湾料理の名店、「麗郷(レイキョウ)」だったかなと思ったけど、確かあそこの名物はアサリでなくシジミだった気もする。 記憶を便りに、それでも家庭で15分でできる様にアレンジすると・・。


asari02.jpg●●●「アサリそば」 ●●●
青菜(チンゲン菜、ほうれん草、レタスなど)に、長ねぎ、たけのこやにんじんの細切りなど 具はあるものでいい。これを炒めて、ガラスープ、あさりを入れて、塩味ベースの味付け。 中華麺と一緒に盛り付けて熱いうちに胃袋へ。あさりは殻付がいい。薬味はザーサイの微塵切り。 がらスープは鶏がら、貝柱などで澄んだ上湯(シャンタン)をとってもいいが、1日がかりになるので、 市販のガラスープの素で。あさりのうまみが出るのでこれで充分。味の素の「丸鶏使用がらスープ」がいいと思う。


2歳の娘はアサリが大好き。小さな前歯で貝から身をはずすことが楽しくてしょうがない様子。 なかでも「コンキリエのボンゴレ」は大好物。巻き貝の形をした ショートパスタと2枚貝のアサリの取り合わせが大のお気に入り。アサリ2個に対しコンキリエ1個を 口にほおばるのが、彼女のこだわりらしい。
女将(注):「こだわり」ではなく「執着」です

asari04.jpg●●●「コンキリエのボンゴレ」●●●
長ねぎ、少量のにんにくを微塵切り。オリーブオイルで炒め香りがでたら、アサリを入れて、白ワインで蒸し煮。 たっぷりのお湯と1つまみの塩でコンキリエを茹で上げスープとからめてでき上がり。塩、胡椒は最後で可。 スパゲティーのかわりにコンキリエを使っただけの簡単ボンゴレ・ビアンコ。 ボンゴレに使うアサリは、殻付きか、むき身か、両方か、議論は果てぬが、我が家では娘のために、 殻付きのみにしている。 コンキリエ=貝殻の形のショートパスタ


旦那の居場所、今回は「アサリ」のおいしさについてでした。下町の味、懐かしの深川めしは割愛させて頂きましたが、ビタミンB2、カルシウム、鉄分に富み、日本全国でとれる アサリは、古来より庶民の強い味方。何よりいいダシがでますし・・。
旬は秋から春にかけてですが、春の季語。春のイメージが強い素材です。パック入り砂抜きあさりも、塩水につけて砂抜きが必要。また貝と貝をこすり合わせるように 表面を洗うことも忘れずに。意外と汚れているものです。しかし、自分でとったアサリはどんなに砂を噛んでいても、許せてしまうから不思議なものです。 (98年5月)

旦那の居場所第1回 「じゃがいも」礼賛

店主・女将のダンナは「惣菜管理士」というあまり知られていない資格を持っている、 ただのサラリーマン。とにかく大の料理好き!・・で、このお店を間借りさせて あげることにしました。 名づけて「ダンナの居場所・・居酒屋のおやじを夢見て」。 これからも色々な素材を取り上げていきますのでお立ち寄りください。*この記事は1998~2005年に書かれています


★★「じゃがいも」礼賛★★

2年前の秋に北海道十勝平野の士幌町(シホロ)を訪ね、じゃがいもの収穫を体験させて 頂いたことがある。見渡す限りのじゃがいも畑に巨大なハーベスターを一直線に乗り入れていく。 650kgものじゃがいもが入る頑丈なスチール製のコンテナはすぐに一杯になった。

◆ 士幌のいも作り ◆

士幌のいも作りは、まず土作りからはじまる。士幌牛の完全堆肥が肥沃な畑を作り上げる。 とうもろこしなどとの輪作により、4~5年に1度しか同じ畑でいもは作らない。 そして、いもの選別は厳格を極める。農協の検査場には、コンテナを満載したトラックが次々にやって来ては、 厳しい品質検査を受けて等級付けされる。このランクによって価格が決まり用途が決まる。不満足なものは 「澱粉落ち」=でん粉工場行きとなる。巨大な貯蔵施設では、1年中温度・湿度が管理され出荷を待つ。 260戸を超える農家の生産性は極めて高い。町の英知を結集していも作りに取り組んでいる。

◆ じゃがいも おいしさの秘密 ◆

しかし、本当に士幌のいもを最高の品質に育て上げるものは、北海道の大地である。シホロとはアイ ヌ語で「広大な土地」を意味する。昼夜の寒暖差の激しいこの気候がじっくりと、いものでんぷん価を 高めていく。そして、この厳しい自然に働きかける農家の皆さんの情熱がそれを支える。男爵、メークイーン、 ワセシロ、トヨシロ、キタアカリ、農林一号、ホッカイコガネ。 とれたてのじゃがいもを試したが、なぜかどれも飛び切りうまい。うまさの秘密はでんぷん価=ほくほく感にあった。 じゃがいもは本来、年に一度収穫されるものだが、士幌をはじめ産地の努力で、一年中ベストな状態で 私たちの食卓にのぼる。


★★★ホントにおいしい・・「じゃがいも」のあの料理★★★


銀座のとある料理屋の名物料理に、じゃがいもの千切りをバターで炒め、あっさりと塩、胡椒で味付け アツアツを食べるというのがあった。バターの風味とシャキシャキの食感がバッチリの「絶品のジャガバター」だった。

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●●●「絶品のジャガバター」●●●
じゃがいもは皮をむき千切り、フライパンを熱したらサラダ油で千切りおじゃがをしゃきしゃき程度に炒める。 手早くバターで風味を付けて塩、胡椒。あれ・ちょっとまだ早かったかな位が丁度よい。 バターはけちらず・・、バターの塩味に気を付けて・・、胡椒は黒の荒挽き・・がポイント。


スペインはバルセロナの漁港のレストランで食べた、つけ合わせのマセドアンサラダは抜群だった。じゃがいもにもアルデンテがあるならまさにそれ。マヨネーズは使わずに、オリーブオイルの風味が効いた あっさりとしてスカット冷たい・・ああ「バルセロナのマセドアンサラダ」


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●●●「バルセロナのマセドアンサラダ」●●●
じゃがいも、にんじん、ズッキーニ、ハムは賽の目切り(マセドアン)、 にんじん、じゃがいもは、オリーブオイルと塩、胡椒で下茹で。 フライパンにオリーブ油を入れて、ズッキーニ、ハムを炒め、茹でたじゃがいも、にんじんを加える。 塩、胡椒で味付け、白ワインビネガーで酸味をふる。キンキンに冷やして。食べる前にレモンを ふりかけると味がしまる。にんじんは、油と一緒に食べるとカロチン(ビタミンA効力)の吸収が良い。


母親はどうも何かの料理番組で仕入れたらしい。しかし、今となっては、おふくろの味という記憶しかない。生のじゃがいもをすりおろしてお好み焼のようにフライパンで焼いただけの料理。外側はパリっと、中はねちょねちょ。当家では名付けて「じゃが好み焼き」

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●●●「じゃが好み焼き」●●●

じゃがいもは生のまますりおろし、ねぎの微塵切りをドバッと入れてかき混ぜ、 あとはお好み焼きの要領で、フライパンに油をしいて両面を焼くだけ。 挽肉やコンビーフなどトッピングをいろいろ試したが、「ねぎだけ」が何故か一番うまい。


ダンナの居場所、今回は「じゃがいも」のおいしさについてでした。南アメリカ生まれのじゃがいもは、15世紀末にはヨーロッパに渡り、日本へは1600年前後にオランダ人によってジャカトラ(現インドネシア)から持たらされ、ジャガタライモ=ジャガイモ と呼ばれるようになりました。主成分はでん粉で、くせもなく保存もきき、多くの地域で主食として・保存食として古来より大活躍してきました。ビタミンC、カリウムを多く含み、一説には高血圧予防効果があるともいわれています。そうです。フランス語で「じゃがいも」はポム・ド・テール=「大地のリンゴ」というのもうなずけます。じゃがいも料理と聞いてまず思い出すのは、「肉じゃが」ですが、東日本では粉質の男爵芋に豚肉、 西日本では粘質のメークイーンに牛肉という組み合わが一般的というから、不思議なものです。(98年4月)


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