旦那の居場所第6回 キャベツ礼賛

女将のダンナは「惣菜管理士」というあまり知られていない資格を持っている、 ただのサラリーマン。とにかく大の料理好き!・・で、このお店を間借りさせて あげることにしました。 名づけて「ダンナの居場所・・居酒屋のおやじを夢見て」。 これからも色々な素材を取り上げていきますのでお立ち寄りください。*この記事は1998~2005年に書かれています


小学生の頃、土曜日は給食がなかったので、必ず家で昼飯を食べた。商売で忙しい旦那の生家では、手をかけた食事は期待できない。焼き飯、牛丼、おじや、煮込みうどん・・ その時、必ず野菜は、大皿山盛りのきゃべつの千切りだった。銘々皿にガポッととって、 醤油、ソース、マヨネーズあたりの調味料や、おしんこ、納豆などのトッピングを各自の好みでぶっかけて食べる。 先日、久々に生家に泊まった時に、朝飯から、このキャベツの千切りの大皿に遭遇した。 カリカリベーコンをちらし、ドレッシングをかけるところには食卓の進化を感じたが、懐かしい原型をとどめた一品だった。(親父65才は相変わらずそれにソースとポテマヨをかけていた。)


● ● ● ● 「キャベツとの出会い」 ● ● ● ●

腹 が減ってたまらない小学生時代、自分で料理して、胃袋を満たすことを覚えた時分、一番馴染みの 深かった野菜はキャベツだったと思う。まず第一に、一年中冷蔵庫にはいつもある。第二に刻みやすい 第三に当時自分の中で大流行していた即席ラーメンとの相性の良さ。「ちび六」というラーメンをご存知か、これにキャベツのざく切りも一緒に入れて煮込んで食った。
はじめて、中華鍋を振ったのも小学生、はじめての中華は野菜炒めだった。キャベツだけが、バランスを欠いて、不自然に多く入ってしまう。葉の2~3枚でもけっこうボリュームのあることを知らずに使った。


● ● ● ● 「キャベツのうまさの秘密」 ● ● ● ●

キ ャベツの偉大さは、どの料理方法でもうまい、ということにつきる。生食、炒め、煮込み、茹で、漬物・・。 ほのかな苦みと甘みをあわせ持つ。生ではあの青臭さが苦手という方もいらっしゃるが、 噛みしめた時の甘みはたまらない。加熱しても良し、キャベツのない野菜炒めなど想像もつかない。 油や醤油との相性もいいし、煮ればしっくりと味がしみる。パリパリの食感を残した浅漬けもたまらないが、 臭いほどに発酵した糠漬けの古漬けもいい。ゴマやかつぶしをのせれば、ごはんを何杯でも食える。 ザワークラウト、ロールキャベツ、回鍋肉(オリジンはキャベツでないが)、コンソメスープの浮き身に、軽く煮たキェベツの 千切りも抜群、味噌汁の具でもうまい。洋の東西、料理法を問わない有り難い素材。 お好み焼きについては敢えて多くを語るまい。千切りかざく切りか。関西風か、広島風か、関東風か。議論が果てぬ。


★★★ホントにおいしい・・「キャベツ」にあうあの料理★★★


女将の得意料理。切って和えるだけの定番の中から。簡単で、さっぱりと無理なくたくさん食べれる。ひじきのこんな食べ方もあったのかと 驚いてしまう、「キャベツとひじきのサラダ」(女将はコールスローサラダにも目がない。)

◆◆◆「キャベツとひじきのサラダ」◆◆◆

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キャベツは千切り。 ひじきは水戻し、何度か水をかえ、よく洗って、水気を切る。 キャベツ、ひじきをあわせ、市販のノンオイル ドレッシングをかける。 で出来上がり。



とんかつのチェーン店にドレッシングを提案した時の話。キャベツの千切りにとんかつソースをかけるか、
ドレッシングをかけるか、30歳代では半々、40歳以上はほぼソース、20歳代は間違いなくドレッシングだと痛感した。一食当たりでもっともキャベツを食べられるのは、「とんかつ」かも。というわけで、豚肉の栄養バランスの良さもあり、今や「とんかつ」はヘルシーメニュー。 余談だが、とんかつのキャベツにあうのは、オニオン入りの醤油ドレ、やや甘いかつお風味の和風ドレ梅やしその風味の和風ドレ、少し冷たい白のフレンチあたりがよいと思う。主役の「とんかつ」はさておき、とにかくキャベツの千切りをうまく食べるには、あれこれ試すのが一番。そこで、昔からの定番の味付けも含めて「トッピング自由のキャベツの千切り」

◆◆◆ 「トッピング自由のキャベツの千切り」 ◆◆◆
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キャベツは大量に千切り、大皿に盛る。 調味料は、しょうゆ、ポン酢しょうゆ、ソース、ドレッシングは和風やフレンチ、マヨネーズ、からし、 ゴマ油に、オリーブ油などなど。 トッピングはカリカリベーコン、削りぶし、ゴマ、納豆、紅しょうが、刻みのり、玉ねぎのみじん切り クレソン、みょうが、オクラ、たか菜、ザーサイなどなど。銘々皿にとり、おかわりの度にアレコレとアレンジ。 キャベツは、軽く電子レンジでチンすると、青臭みも抜け、甘みが増し、かさも減り、さらにたくさん食べられる。


豚肉とキャベツの組み合わせは多い。回鍋肉、ロールキャベツ、とんかつ,焼きそば、お好み焼き…。これも、お互いの素材がバッチリと調和した逸品。これからの夜長にこれをつまみに、一杯いかが?ビールも進むし、ご飯の上にかけてもうまい。「豚鍋 キャベツ入り」


◆◆◆「豚鍋 キャベツ入り」 ◆◆◆
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豚肉うす切り(バラ肉がうまいが好みで)、キャベツはざく切り。 鍋で豚肉、キャベツを煮て、ポン酢しょうゆで食べる。 薬味は七味、ゆずこしょう、しょうが、おろしにんにくなどで。 だし汁は水でもいいし、「ほんだし」か、「丸鶏がらスープ」でうす味に。 豆板醤、醤油、砂糖を適量で、だしを作れば、キムチ鍋風になってまたよし。



旦那の居場所、今回は「キャベツ」のおいしさについてでした。緑黄色野菜に比べると、栄養価の点では影が薄い存在と思われ勝ちのキャベツですが、ビタミンUや、骨を強くするといわれるビタミンKを多く含みます。
健胃作用もあり、我が国を代表する胃薬の名前にも使われています。 極圏を除く全世界で広く栽培される超メジャーな野菜です。 価格的にも庶民的で、使用頻度の高い人気者ですが、食用として栽培されたのは明治以降とのこと。
焼き鳥屋や串揚げ屋で縦に大きく切ったかたまりキャベツが食べ放題で、ソースと一緒に出されたりすると、何だか本当に得した気分になってしまうから不思議なものです。

98/10月


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